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マスク着用での口呼吸は意外なトラブルに直結!

気温が上がってくると、マスク着用がつらくなりますね。

息が苦しくて、つい口呼吸をしてしまう人も多いのでは?

今回は口呼吸に潜む、お口と体の健康リスクのお話です。

 

 

マスク着用で約4割が口呼吸に

 製菓メーカーの株式会社ロッテが昨年8月に行った「マスク着用の習慣化による体の不調・変化に関する調査」(調査対象:20代~60代の男女400名)によると、マスク着用により「自分の表情を気にしなくなった」人は37.1%。とくに表情への意識が低下したのは20代の女性で55%にも及びます。

 また、全体の44%が「口呼吸になっている」と感じていました。

 マスクが息苦しく知らず知らずのうちに口を開けて、口呼吸が常態化してしまったという人も多いのではないでしょうか?

 

唾液減少が口臭を招く

口呼吸でまず問題になるのが、唾液の減少です。

 唾液が減少していても「たかが口の中が乾くだけ」と思いがちですが、実は唾液は私たちの口の健康に、大事な働きをしているといいます。

 唾液にはさまざまな働きがありますが、その1つに抗菌作用があります。

唾液の中には口の中の細菌を抑える物質や殺菌の働きをする物質が多く含まれていてるそうです。

 したがって、マスクをして口呼吸をしていると、唾液が減って細菌が増殖。それが口臭の原因になってしまうのです。

マスク着用が日常化するにつれ、口臭を気にして歯科医院を受診する人が増えているそうです。

 

口が乾くと虫歯リスクも増大

 また、唾液には口の中の細菌や食べカスを洗い流してきれいにする自浄作用や、歯の再石化作用という大事な働きもあります。唾液が歯を強くして虫歯から守ってくれているのです。

そのため、唾液が減少すると、虫歯のリスクがぐんと高まってしまいます。

 さらに、新型コロナウイルスの感染拡大を受けておうち時間が増えると、ダラダラ食事をしていたり、しょっちゅうお菓子を食べるなど、食行動が変化。このことも、虫歯のリスクを高めているといいます。

 

口呼吸は免疫力低下や老け顔のもと

 口呼吸が及ぼす影響は、お口の健康だけではありません。

口呼吸をしていると、空気が直接のどに入り込むために、鼻呼吸に比べて、細菌やウイルスの感染リスクが数倍高まるといわれています。

 さらに口呼吸をしていると口元が緩んだ状態につながるため、老け顔をつくる原因にも。

 マスク着用時も、鼻呼吸を意識して美容と健康を維持したいものですね。

 なお、唾液が減っていると感じるときは唾液腺マッサージをおすすめします。

 唾液腺マッサージの方法は、歯科医院のホームページなどでも紹介しているので、検索をして、ぜひトライしてみてください。

 

<参考>

※「お口の恋人ロッテ ニュースリリース「噛むこと研究室 マスク着用の習慣化による体の不調・変化に関する調査」(株式会社 ロッテ)

 ※「マスク下口呼吸ご用心」(東京新聞 2021/4・6)

 ※「歯の話」(蒲郡市歯科医師会 ホームページ)

 

 

 

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。