
食べていないのに、食物アレルギーに!?
特定の食べ物を口にすると起こる食物アレルギー。
近年は、皮膚から侵入して起こる食物アレルギーが注目されているようです。
化粧品で食物アレルギー!?
スキンケアや化粧品で思いがけないトラブルが起こることがあります。
その1つが食物アレルギーです。
過去には小麦成分を含んだ洗顔石けんを使用していた人が、小麦製品を食べるとアレルギー症状を引き起こしたケースがあり、問題になりました。
食物アレルギーといえば、これまでは口から摂取した食べ物(アレルゲン=アレルギーの原因となるもの)が消化管で吸収されてアレルギーが発症すると考えられてきました。
しかし、近年ではアレルゲンとなる食べ物成分を皮膚から繰り返し吸収することによって、食物アレルギーを引き起こすことがあることがわかってきたそうです。
口紅が原因で起こったケースも
例えばピーナッツオイルを使っていてピーナッツアレルギーになったり、コチニール色素という成分が配合された赤い色の口紅などの化粧品が原因で食物アレルギーが起こったケースもあるそうです。
コチニール色素は、お菓子や食品、飲料水、また化粧品の赤色系の着色に広く利用されているもの。
コチニール色素入りの化粧品を使っていた人が、この色素の入ったお菓子や飲料を口にして食物アレルギーを発症したケースが報告されているそうです。
化粧品を使用したり食品を摂取したときに、かゆみなどの異変が起こったら、すみやかに化粧品の使用や食品の摂取を中止して皮膚科を受診することをお勧めします。
繰り返し特定の食品に触れて起こる、職業性の食物アレルギー
皮膚から吸収されて起こる食物アレルギーは、化粧品以外でも起こることがあるそうです。
例えば毎日魚を調理している人が魚アレルギーを発症するなど、調理師や食品加工の現場で働く人、主婦など手荒れを起こしやすい人が、同じ食べものに頻回に触れることでアレルギーを発症することがあるといいます。
一般に特定の食物に触れることでアレルギーを起こすなどとは思いませんから、原因がわからないまま進行させてしまうこともあるようです。
皮膚の保湿が大事
最近の研究では肌荒れや湿疹など皮膚に炎症があると、皮膚のバリア機能が低下してアレルギーの原因物質が体内に入ってアレルギーを成立させることがわかっているそうです。
皮膚のバリア機能が低下しているときは、アレルゲン以外にも細菌やウイルスなども侵入しやすいといわれています。
こうしたトラブルを防ぐためにも、大切なのが皮膚の保湿だそうです。
冬はそれでなくても空気が乾燥して、手荒れ・肌荒れが起こりがちです。
今年は新型コロナウイルス感染予防のために頻繁に手洗いをしたり、手指のアルコール消毒をして、手荒れが加速している人も少なくないようです。
アレルギーなど思わぬトラブルを起こさないためにも、面倒がらずにこまめに肌の保湿を心がけたいものですね。
<参考>
*「もしかしてアレルギー?」(『栄養と料理』女子栄養大学出版部 2020年3月号)
*「食べていないのに突然発症! 食物アレルギーの新常識」(「ためしてガッテン」NHK 2018年1月18日)放送)