
よく噛んでゆっくり食べれば「いいこと」いっぱい
仕事仲間や友人と食事をしていて、自分は早食いだなあ、と思ったことはありませんか?
一般に15分以内に食事を済ませてしまう人は早食いで、太りやすい傾向にあるといわれています。
あなたは1回の食事にどれくらい時間をかけていますか?
食生活の変化で咀嚼回数が激減
昔の食事を復元して咀嚼回数を比べた研究があります。
それによると、戦前の食事では咀嚼回数は1420回で食事時間は約22分。
それに対して現代の食事では、咀嚼回数は620回、食事時間は11分と咀嚼回数も食事にかける時間も約半分に激減してしまったそうです。
かつては麦飯や根菜類の煮物といった噛み応えのある食事が中心でした。
しかし、ハンバーグやパスタ、ポテトサラダなど、食べやすいもの軟らかいものが好まれるようになって、噛む回数も食事時間も知らず知らずのうちに減ってしまっているようです。
早食いは肥満の元!?
早食いは肥満の元といわれますが、実際食べる速さと肥満には深い関係があることが疫学調査でわかっているようです。
また平成21年国民栄養健康調査でも、男女ともに早食いの人ほど肥満傾向があるという結果が出ました。
一般に、食事を始めてから満腹を知らせるシグナルが脳に届くまでにかかる時間は15分程度といわれています。
この時間までに食事を完食してしまうと、満腹感が得られず、食べる量がどうしても多くなりがちです。
食後眠い人は要注意
また、早食い・食べ過ぎで糖質を一気に摂取してしまうと食後の血糖値の変動が大きくなってII型糖尿病を発症しやすくなることが知られています。
食後に強い眠気や倦怠感を感じる人は、血糖値の変動が原因であることが少なくないようです。
ゆっくりよく噛むと脳や体によい影響が
反対によく噛んでゆっくり食べることで、食べ過ぎを防げることはもちろん、脳内に分泌されるヒスタミンという物質が内臓脂肪の分解を促進することもわかってきているそうなのです。
また、よく噛むことは脳の劣化を防ぎ脳の活性化に役立つこともあきらかになりつつあるといいます。
ほかにも、よく噛んで食べることで胃腸への負担が軽減し、唾液の分泌が増えて虫歯や歯周病を予防する効果も期待できるといわれています。
さらには、よく噛むことで、唾液に含まれる酵素が発がん物質の毒性を消してくれるという研究もあるとのこと。
よく噛んでゆっくり食べることは、肥満やポッコリおなかを防ぐうれしい効果だけでなく、体にも脳にもよい健康効果がいっぱいあるというわけです。
食事ではよく噛むことを意識して
早食いを防ぐためには、麦飯や玄米、根菜類、海藻類、きのこ類など噛み応えのある食材を使うといいそうです。
また、「ながら食べ」をやめる、ひと口に入れる量を減らして噛む回数を増やす、一口食べたら箸を置くなどゆっくりよく噛んで食べるなど、メニューや食べ方に工夫をするとよいといわれています。
早食いを自覚している人は、これを機に食事はよく噛んでゆっくり味わって食べてみませんか?
<参考>
*「歯と口の健康からはじめる食育サポートブック」(東京都福祉保健局 東京都歯科医師会)
*オーラルヘルスオンライン「噛むことが大切な4つの理由」(神奈川県歯科医師会)
*e-ヘルスネット「速食いと肥満の関係-食べ物をよく『噛むこと』『噛めること』」
*みんなの食育「ゆっくり食べる」(農林水産省)
*「こころの病を治す 食事・運動・睡眠の整え方」(翔泳社 功刀浩著)