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【New】光化学スモッグはまだ健在?

「光化学(こうかがく)スモッグ」って最近あまり耳にしませんね。

かつては夏に多く発生して、目やノドに様々な症状がみられました。

もうなくなってしまったのでしょうか?

 

光化学スモッグは過去のこと?

 夏に注意したいことといえば「熱中症」……ほとんどの人が知っています。

 対して「光化学スモッグ」といっても、多くの人にとって「?」といった具合で、あまり馴染みがなく、初めて耳にする言葉かもしれません。

 今ではすっかり忘れられたかに見える光化学スモッグですが、かつてはある意味、夏の陰の主役でもありました。

「光化学スモッグの発生にご注意ください」……そんなアナウンスがテレビや町内の防災無線から流れたものでした。

 でも忘れられたとはいえ、この光化学スモッグ、日本から消えてなくなったわけではありません。

 

光化学スモッグは今でも健在?

 光化学スモッグの発生が大きな問題になったのは1970年代です。

 1971年には4万8,000人以上もの人が光化学スモッグの被害を受けました。

 その後、汚染物質の排出規制によって、光化学スモッグの発生は減少を続け、環境省の調べによれば、2017年には被害の届出数は20人、注意報の発令は全国で87件までに減り、光化学スモッグという言葉を聞くこともめずらしくなりました。

 

光化学スモッグは大気中の白いもや?

 光化学スモッグというのは、光化学オキシダントという物質が原因で発生するといわれます。

 この光化学オキシダントは、車の排気ガスや工場などの煙に含まれる汚染物質、スプレーやペンキなどに含まれる揮発性有機化合物(VOC)などが強い紫外線を浴びてできたもので、大気中にたまると、白いもやがかかったような現象がみられます。

 これを光化学スモッグといいます。

 目がチカチカする、ノドが痛い、頭が痛いといった症状があらわれるなど、光化学スモッグは人体に様々な悪い影響を及ぼすといわれます。

 

今でも身近な光化学スモッグ

 家庭で使う日用品の中には光化学オキシダントを発生させる原因となるVOC(揮発性有機化合物)が含まれているものがあります。

 例えばヘアスプレーや制汗剤、ペンキ、芳香消臭剤、防虫・殺虫剤などです。

 東京都の調べでは、1年間にこれらの日用品からVOCが都内だけで1万トンも放出されているということです。

 スプレーや塗料などを使うときはVOC発生の少ない水性や低VOC塗料を選ぶのがよいようです(詳しくは東京都の「身近な低VOC製品の選び方ガイドブック」参照)。

 9月までの暑い時期に光化学スモッグが発生しやすいといわれています。

 注意報が出たら外出は要注意です。

 

<参考>

*「大気汚染が引き起こす問題」(環境省)

*「揮発性有機化合物について」(環境省)

*「平成29年 光化学大気汚染関係資料」(環境省)

*「身近な低VOC製品の選び方ガイドブック」(東京都)

*「暮らしの中のVOC)(東京都)」

*「光化学スモッグに注意して」(朝日小学生新聞/2020.7.27)

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。

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