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【New】人類最大の敵、蚊の脅威と驚異?

本格的な暑さの到来とともに気になるのが蚊問題。

刺されれば、かゆいだけでなく感染症の原因にもなります。

そんな厄介な蚊にすごい能力があるらしいのですが……?

 

蚊はウイルス感染症を媒介する?

 蚊が憎たらしく感じる季節になりました。

 特に夜ともなると、どこから入り込んだのか、部屋中をわが物顔に飛び回ります。

 暗闇の奥からプ~ン、ツィ~ンという不快な羽音ともに近づき、あっという間にチクリとやって、いずこかへ消え去る神出鬼没、不敵なヤツです。

 そんな蚊ですが、刺されるとかゆいだけでなく、デング熱や日本脳炎、ジカ熱、マラリアなど、様々な感染症を引き起こすかもしれない厄介ものでもあります。

 

蚊は人をもっとも多く殺している?

 蚊は人類最大の敵といわれます。

 というのも1年間で人間をもっとも多く殺した生き物は、「蚊」なんだそうです。

 その数は約83万人といわれています(「蚊が媒介する感染症」国立国際医療研究センター病院・忽那賢志先生)。

 蚊が媒介するウイルスなどによる多くの感染症が原因だそうです。

 ちなみに現在、世界を席巻している新型コロナウイルス感染症による死者は、68万人を超えています(8月2日現在)。

 もしかしてこのまま流行が続くことがあれば2020年の人類最大の敵は、蚊から新型コロナウイルスになるかもしれません。

 

高感度センサーが蚊の飛行を支える?

 さてそんな蚊ですが、難なく暗闇の中を障害物にぶつかることなく飛び、標的である人間を見つけてチクリ、と指すことがどうしてできるのでしょう。

 そんな疑問に答えてくれたのが千葉大学の研究グループでした(朝日小学生新聞・2020.7.4付)。

 同紙に掲載された記事によれば、蚊の触覚の根もとにある「ジョンストン器官」と呼ばれる超高感度センサーに秘密があるらしいです。

 蚊が羽ばたいたときに障害物などに当たって返ってくる気流のわずかな変化をこの器官で感知して、飛ぶ方向を決めているのだそうです。

「蚊のような仕組みで飛ぶ生き物は聞いたことがない」と研究グループでは驚いているそうです。

 

蚊は1秒間に600回も羽ばたく?

 ところで蚊が飛ぶときに発するプ~ン、ツィ~ンという羽音はとても耳障りです。

 この羽音は、蚊の羽ばたきの速さと関係があるそうです。

 なんと1秒間に約600〜800回も羽ばたいているそうです。

 これは同じ程度の大きさ、つまり体長約4ミリほどの昆虫であるショウジョウバエが約200回であるのと比べると「常識はずれ」なんだそうです。

 あのプ~ン、ツィ~ンという高音で神経を逆なでするような羽音は、いってみれば蚊の生命線でもあったわけですね。

 そんな嫌われものだけど、驚くべき能力の持ち主である蚊の対策について次回以降、ご紹介しようと思います。

 

<参考>

*「蚊の飛行メカニズムの解明」(千葉大学大学院工学研究院・中田敏是特任助教)

*「蚊はすごい!」(朝日小学生新聞/2020.7.4)

*「感染症を媒介する蚊対策講習会」(東京都)

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。

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