
「チン」するだけの万能調理器具が発火?
家で食べることが多くなるにつれ、何かと頼りになるのが電子レンジ。
火を使わないので安全、安心と思われがちですが、間違った使い方をすると思わぬ事故を招きます。
いま一度、使い方の確認を!
電子レンジの事故にご用心
電子レンジでジャガイモを加熱していたら燃え出した。加熱中にゆでタマゴが破裂した。マグカップで牛乳を温めていたら突然吹き出した。庫内に火花が飛んだ……安全だと思って使っている電子レンジによる事故が毎年、数十件起きています。
発煙、発火の原因は汚れと加熱しすぎ?
国民生活センターの調べによると、2009~2014年度にかけて、少なくとも359件の電子レンジ庫内の発煙・発火に関する相談があったということです。
このうち庫内の汚れの付着による発煙、発火と確認できたのは74件、食品の発煙、発火と確認できたのは122件だったそうです。
つまり発煙、発火の原因のほとんどが、電子レンジ庫内の汚れと食品の加熱のしすぎということらしいです。
食べカスの付着と加熱が繰り返されるうちに炭のようにこびりつき、それがあるとき発火、発煙するというわけです。
取扱説明書を読まない人は3割?
「チン」するだけでなんでもできちゃう手軽な調理器具の電子レンジですが、正しい使用方法を理解している人は意外に少ないようです。
東京都の調査によると、「加熱しすぎに注意を要するもの」や「危険な使用方法」を知らずに使っている人が8割もいることが分かりました。
また、取扱説明書を確認しないで使っている人が全体の29.4%もいました。
若い世代ほどその率は高く、60歳代の17.8 %に対して、20歳代は41.4%、30歳代で33.5 %、40歳代は26.3 %
でした。
また、電子レンジの庫内が汚れたまま使っている人は全体の63%もいました。
金属や紙、木製品は不向き?
電子レンジは、電磁波(マイクロ波)を利用して加熱するもので、食べ物に含まれる水分を振動させ、そのとき発生する熱によって食品を温める仕組みです。
電磁波は金属の場合反射され、プラスチックや陶磁器では透過する性質があるといわれます。
金属の食器やなべ、金串、金や銀の模様や縁取りをした食器、アルミホイルなどを入れて「チン」すると庫内で火花が発生することがあります。
紙や木製の容器も不向きです。発火や、ひび割れなどの恐れがあるようです。
プラスチックやガラス容器は耐熱性のものなら使えますが、それ以外は使わない方が無難なようです。
陶磁器もヒビが入っていたり、金銀の模様などがあるものは使えないようです。
液体が突然吹き出す突沸?
牛乳を温めていたら突然、ふき出してやけどしたという経験ありませんか?
突沸(とっぷつ)というらしいです。
液体が沸騰する温度に達してもブクブクと泡が出てこない場合があります。
このときに容器を動かしたり、砂糖などの調味料を入れると、その刺激で突然、液体が激しく飛び出すことがあります。
この現象が突沸だそうです。
牛乳や水、豆乳、酒、コーヒー、スープ、味噌汁などで起こるといわれます。
いつも起こるわけではないようですが、まずは加熱しすぎないことが肝心とか。
また、加熱しすぎた場合は扉を閉めたまま1~2分ほど冷ますのがいいようです。
他にタマゴは電子レンジに不向きの食品として有名です。クリやギンナンも殻付きで加熱すると破裂する危険があります。
これらは一般社団法人日本電機工業会のHPに紹介されていました。
毎日使っている割には知らないことが多い電子レンジのこと、もう一度取扱説明書を読むのがいいかもしれません。
<参考>
*「電子レンジの安全な使用に関する調査」(東京都)
*「電子レンジ庫内の発煙・発火」(独立行政法人国民生活センター)
*「オーブンレンジ・電子レンジ 安全/正しい使い方」(一般社団法人 日本電機工業会)
*「電子レンジ 正しく使おう」(朝日小学生新聞)