プラスコラム
PLUS COLUMN

美容皮膚科ってなに?

美容医療の分野がさまざまな形で広がっています。美容皮膚科もそのひとつ。気軽に利用している人が増えています。その効果のほどは……。

「なりたい顔」になれる時代

先日、薬学部の講師をしている先生から「最近は学生たちが『明日、ちょっと鼻にヒアルロン酸を入れて高くしてくるよ』とか、『私は先日鼻を高くしてきた』なんていう話を普通にしている。びっくりしたよ」といわれました。男性の先生ということもあって、女性たちが気軽に顔をいじることに驚いたようです。
見た目を美しく整える美容医療は、かつては女優さんなどごく一部の人が受けるものというイメージがありました。けれども、今は違います。エステにいくのと同じような感覚で、鼻を高くしたり、唇をぷくっとふくらませたり、自分の気になる箇所をなおす人が増えてきました。

美容皮膚科と美容外科の違い

美容外科と美容皮膚科は、名前が似ているので混同する人も多いようですね。
美容外科(美容整形)は形成外科の一分野です。
それに対して、皮膚科の分野から美容的な医療・治療を行うのが美容皮膚科。メスを使わずに治療をすることが美容皮膚科の大きな特徴で、にきびやしみ、そばかす、しわやたるみの改善など美肌を目的とする治療や脱毛、また、ヒアルロン酸やボトックス注入など、容貌を整える美容医療も人気です。

ヒアルロン酸とボトックス注入

ご存知の方も多いと思いますが、ヒアルロン酸は、人の関節や皮膚にも存在する水分を保持する働きのある物質です。ヒアルロン酸を注入することにより、しわを解消するほか、鼻筋を高くしたり、唇をぷっくりさせたり、あごのラインを整えたりすることができます。ヒアルロン酸注入の効果は半年から1年ほど続きます。


一方、ボトックス注入は、ボツリヌス菌毒素から抽出した成分をしわが気になる部分に注入する治療です。ボトックスには表情筋を弛緩させる働きがあるので、おでこや眉間などの表情じわを解消することができます。効果は3か月~半年ほど続きます。
また、ボトックス注入は、汗かきで、わきの下の汗やにおいが気になる人にも使われています。脇の下にボトックス注射することにより、2~3か月のあいだは汗の量をほとんどゼロにすることが可能です。


以前は、鼻を高くしたり眼をぱっちりさせるなど、顔のパーツの形を整えることが重視されてきましたが、現在は皮膚の美しさが重要視される時代。その意味からも、美容皮膚科は今後もどんどん増えていくでしょう。また、いわゆる「プチ整形」といわれるヒアルロン酸やボトックス注入は、メスを使わないので美容外科よりも心身の負担が少なく、瞬時に効果があらわれ、また万が一施術後気に入らなくてももとに戻せるなどの理由から年々人気が高まっています。

次回は「美容皮膚科の上手なかかり方」のお話をします。

プロフィール

平田 雅子 先生
皮膚科医
平田 雅子 先生

私のクリニック目白 院長 日本大学医学部卒。皮膚科専門医。

東京医科大学、同大学八王子医療センターを経て、2003、10月から現職。
女性専門医療の第一線で活躍中。
女性医療ネットワーク理事。
日本医師会産業医。
女性の悩みをきちんと聞くことを心がけた診療に定評がある。

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