じんましん
じんましんは、いつでも、誰でも起こる可能性があるポピュラーな皮膚トラブル。季節を問わず起こりますが、夏の疲れが出てくるこの時期には、とくに増えてくるのでご用心! 今回は、そんな「じんましん」のお話です。
急激に出て、数時間以内に消えていくのが特徴
皮膚が非常にかゆくなって腫れ、かくとミミズ腫れのようになって広がっていく……じんましんは、かけばかくほど膨疹(ぼうしん)(盛り上がった発疹)が広がっていくやっかいな皮膚の病気です。膨疹の大きさはさまざまで、地図状につらなることもあります。
じんましんの大きな特徴は、数分から数時間たつとあとかたもなく消えてしまうことです。しかし、いったん消えたかと思うと再び出現するなど、症状が繰り返されることが多いものです。 また、ときには、胃の痛みや下痢などの胃腸症状をともなうこともあります。症状が強い場合は、鼻粘膜や気道の粘膜が腫れて呼吸困難を起こすことがあるので、注意が必要です。
食べ物で起こるじんましんは意外と少ない
ところで、じんましんというと、サバやアジなどの青背魚やエビ、カニといった、特定の食べ物が原因で起こると思われがちですが、薬によってじんましんが起こったり、急激な温度差や皮膚への刺激、またストレスなどが原因で発症する場合もあります。ストレス性のじんましんは、緊張しているときよりも、むしろストレスから解放されてほっとしたときに出るケースが多いようです。
そのほか、虫歯や歯肉炎があったり、中耳炎や扁桃腺の腫れなど、体のどこかに炎症があるときにも、じんましんが出やすくなります。
食べ物が原因で起こるじんましんは、意外と少ないものです。
胃腸の調子が悪いときに出やすい
じんましんが出たときの応急処置は、まず冷やすこと。強いかゆみが起こりますが、保冷剤をタオルでくるんで患部を冷やすとかゆみがやわらぎます。
何度かじんましんが出るようなときは、食事の内容やどんなときに出たか(例えば薬を飲んだ後に出た、夏の暑い日冷房のきいたビルに入った際に出た)など、そのときのエピソードを記録して受診すると、診療の助けになります。
じんましんは原因が特定できないことがほとんどです。身体が疲れている。胃腸が疲れているは、強く影響しています。
「皮膚は内臓の鏡」と言うように、内臓の不調が皮膚にあらわれることが多いものです。じんましんはその最たるものです。じんましんは「体が弱っているサイン」と受け止めましょう。
じんましんに有効な新しい薬がいろいろと出ていますが、薬の服用とともに、不摂生な生活をしていないかなど、毎日の生活を見直すことが治療にはとても大事です。
胃腸を整えることが、じんましんを遠ざけるポイントに!
今年の夏は記録的な猛暑が続きましたから、アイスクリームや清涼飲料水など、冷たいものばかりをとって、胃腸の調子を崩した人も多いのではないでしょうか。
じんましんを発症させないためには、暴飲暴食をつつしみ、あたたかいものや消化の良いものをゆっくりとることを心がけて胃腸の調子を整えることがとても大事なのです。
冷たいものをとっておなかを冷やすと、体の代謝が落ちて免疫力も弱まります。おなかの中の消化酵素が働きやすい至適体温は37度といわれます。おなかの中が冷たいと、消化酵素の働きが鈍って消化吸収がしにくくなります。
腸内環境のことを考えると、体温を下げないように暑い日もあえてあたたかい食べ物、飲み物をとることを心がけてください。
また、甘いもの、とくに白砂糖は体を冷やします。甘いものをとるなら、白砂糖よりも黒砂糖を。生クリームなどを使う洋菓子よりも黒砂糖を使った和菓子のほうがおすすめです。
そのほか、油分の多い揚げ物や刺身などの生ものは、消化に時間がかかるので食べるのを控えたほうが無難です。唐辛子など辛い物の食べ過ぎも胃腸に負担をかけるので注意しましょう。 さらに、睡眠も十分にとることが大事です。日常生活を見直して、じんましんを遠ざけましょう。