プラスコラム
PLUS COLUMN

骨は絶えず壊されながらつくられる?

小さい赤ん坊が成長すると大きくなる・・当たり前すぎて話題にもなりませんが、よく考えると不思議じゃないですか? 小さい靴や洋服は、タンスに何年しまっておいても、どんな呪文をかけても、どんなになだめてもすかしても、いつまでたっても小さいままですが、子イヌも子ネコも、子鳥や子カエルも時間がたつにつれ大きく成長していきます。いったい体のどこにどんな変化が起きているの?と思えば、それは「骨」。たかが骨と思うなかれ。骨の「骨のあるところ」について考えてみました。

 

骨は5年で新旧が入れ替わる?

 骨について多くの人はこう思っているのかもしれません。

「骨は思春期のころまでに完成して、あとはそのままの状態が続くんじゃないの?」

「いったんできた骨は新しくつくりかえられることなんかなくて、一生付き合っていくしかないんでしょう?」

 

でも実際は、さにあらず。骨の形成に終わりはあありません。骨は死ぬまでつくり続けられるといわれています。

骨は皮膚と同じように毎日、新陳代謝をくり返していて、日々、壊されつつ新しくつくられています。この「破壊」と「形成」のしくみによって、きょうの骨が壊され、明日の骨へとつくりかえられているのです。

 

新しい骨をつくるのが骨芽細胞、古い骨を破壊するのが破骨細胞と呼ばれます。この新旧の骨の入れ替わりは、大人の場合、1年で約20パーセントの骨に及ぶといわれています。ということは約5年で全身の骨の新旧が入れ替わってしまう計算になります。

ただ、加齢とともに骨芽細胞と破骨細胞のはたらきのバランスが崩れてしまうと、骨折しやすくなったり、骨粗鬆症という病気になりやすくなるということです。

ところで「骨折すると骨が丈夫になる」とかよくいわれますが、あまり根拠がないようです。折れた骨がつながっていく過程で、一時的に骨折した骨の接合部が太くなることがあるらしく、それが誤解を生んで「丈夫になる」といった迷信が生まれたようです。

 

運動しないでいると骨がスカスカになる?

宇宙飛行士が長期間宇宙に滞在したあとで地球に帰還した映像がニュースで流されるたびに不思議に思うことがありました。地上に降り立った彼らが例外なく両脇を抱きかかえられるようにしている姿に「どうしたの?」と思ってしまうのです。

 

じつは無重力の宇宙では体に重力がかからず、筋肉を使うこともほとんどないので、筋力も骨も極端に弱ってしまうらしく、地球に帰還したときには自力で立つことも歩くこともできない状態になってしまうのです。回復のためのリハビリに長い時間がかかるらしいです。

「筋肉を動かす刺激があってはじめて骨がつくられる」・・こんなこと聞いたことありませんか?

 

通勤時のエレベーターにエスカレーター、オフィスではパソコンとにらめっこで座りっぱなし、移動はクルマ、家事では、たとえばお掃除ロボット、乾燥機能付き洗濯機、買い物は宅配まかせ等々、いまでは便利さに慣れ切ってそれほど体を動かすことがなくても生活できてしまう毎日です。当然、筋肉も衰え、骨も弱ってきます。

 

骨の中がスカスカになってもろくなる骨粗鬆症は年寄りの病気と思われていたのに、最近では若い女性にもその予備軍といわれる人たちがふえているといわれます。ふだんの運動不足もあるでしょうし、紫外線を嫌って外にでなくなったり、ダイエットが過激になって栄養不足になっている・・などがあるのかもしれません。

 

じつは骨の量は20〜30歳ごろをピークに、あとはそれまでの貯金を取り崩しながらの毎日なのだそうです。ですからその絶頂期に骨をいっぱいつくっておくことが大切になるわけです。

「骨のあるヤツ」「気骨がある」など、骨には「強い」「したたか」「忍耐」といったたくましいイメージがあります。不摂生な生活で体が「骨抜き」にならないようにくれぐれもご注意ですよ。

 

 

<参考図書・資料>

*「全図解 からだのしくみ事典」(日本実業出版社)

*「からだのしくみ図解事典」(永岡書店)

*「暮らすメイト・2017年3月号〜健康な人は体が美しい〜」(東京新聞)

 

プロフィール

中出 三重
医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。

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