
宇宙飛行士に学ぶ骨粗しょう症のお話
骨粗しょう症とは、骨のカルシウムが溶け出して、骨が軽石のようにスが入った 状態のこと。スカスカになった骨は、わずかな衝撃でも骨折したり変形したりするといいます。閉経後の女性に多く、骨の老化ともいえる病気ですが、実は宇宙 飛行士も深い関係があるのをご存知でしょうか?
宇宙空間では骨の老化が10倍早まる!?
宇宙飛行士といえば、厳しい選抜を経て選び抜かれた究極のエリート。専門的な知識を備えているだけでなく、心身ともに健康であることも条件になります。
何回にもわたる厳しい身体検査をクリアして、地上で厳しい訓練を重ねて宇宙に飛び立っていきます。万全の健康状態で宇宙に向かうわけですが、宇宙から地球に帰還すると彼らのからだに急速に老化したような変化があらわれることが知られています。
とくに顕著なのが骨の変化で、長い間無重力の状態の宇宙で過ごしていると、骨粗しょう症患者のなんと10倍の速さで骨が弱くなるといわれています。
骨は負荷に応じて強くなる
でもなぜ、骨量が減ってしまうのでしょうか?
骨は、一度できあがるとそのままずっと同じ状態でいるように思えますが、実は皮膚と同じように絶えず新陳代謝を繰り返しています。
骨には、骨をつくる骨芽細胞(こつがさいぼう)と骨を壊す破骨細胞)(はこつさいぼう)があり、絶えずつくっては壊され、壊されてはつくられています。そうして、1年のうちに20~30%の骨が新しい骨に入れ替わっているそうです。
このように、健康な人では、骨の破壊と形成がバランスよく行われますが、なんらかの原因でこのバランスが崩れると、骨は壊される一方になり骨粗しょう症になります。
骨 を強くするには、適度な衝撃がかかることが必要ですが、無重力状態の宇宙空間では、骨にはなんの負荷もかからないために、骨からカルシウムが溶け出してい きます。つまり、失う部分が大きい一方、つくられる骨の量がたりなくなってしまうために骨量が大きく減ってしまうというわけです。
骨量を維持するためには、骨の材料となるカルシウムやその吸収を助けるビタミンDを十分に摂ることが大事ですが、それだけでは骨は強くなりません。
骨には適度な負荷をかけると、その負荷に負けないように骨自体を強くするしくみがあります。無重力環境で骨が弱くなった宇宙飛行士をみてもわかるように、骨を強くするには骨に対する負荷、つまり運動が必要不可欠なのです。
強く丈夫な骨をつくるには、運動負荷が必要
骨に負荷を与える運動には、縄跳び、ジョギングなどのジャンプ系の運動がありますが、ウォーキングでも、骨に適度な刺激が与えられるといいます。
骨粗しょう症は、お年寄りがなるものだと思われていますが、実は、40代の10人に1人は骨粗しょう症予備軍という衝撃的なデータもあります。日ご ろ運動不足になりがちなデスクワークの人は、ウォーキングのほかにもエレベーターはやめて階段を上るなど、毎日の生活の中で骨に少しだけ負荷をかけること を心がけてみませんか?