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ドクター相談室「突発性難聴の完治しないのでしょうか?」

 

4年程前に突発性難聴と診断され、1ヶ月程服薬して改善されたのですが、完治には至っていないようで、可動式のキャビネットの前に立って調べものをしたり大きく振り返ったりするとフラフラしてしまいます。

 

一度難聴になってしまうと完治しないんでしょうか?気持ち悪くなってしまったりするので、気分的にも落ち込みます。鍛える方法などないでしょうか?

 

 

毎年4万人近くの方が発症すると言われる「突発性難聴」。突然、聴力を失ってしまう、原因不明の耳の病気です。発症時には、半数以上の方にめまいが起こり、耳の閉塞感や耳鳴り、吐き気が現れることもあります。

 

かつては50代~60代の方がかかりやすい傾向にありましたが、最近では、10代~20代の方も増えており、厚生労働省が難病に指定している病気でもあります。

「突発性難聴」は後遺症が残りやすい病気。聴力が戻るのは1/3の方のみで、聴力低下やふらつき、耳鳴りが残ってしまうと言われています。耳の中にある、音の振動を電気信号に変える「有毛細胞」は一度壊れると再生できないため、完全回復がなかなか難しいのですね。

 

重要なのは、治療をいかに早く始めるか。発症後48時間以内に治療を始めれば80%近くが聴力を取り戻しますが、1か月を過ぎてからの治療では、後遺症を抱えるリスクが高くなります。「突発性難聴」になられたとき、治療はすぐにスタートなさいましたか?

 

「突発性難聴」は、重度であれば、入院治療が望ましいものです。それは、安静にすることで耳の血管の塞栓や出血などの障害を治すためだけではなく、精神的・肉体的ストレスから解き放たれ、治療に専念できるから。「突発性難聴」を発症した多くの方が、発症前に多大なストレスを感じていたとの報告もあり、心身共に休めることが大切です。

 

残念ながら、現在の治療法では、3か月聴力が変化しなければ、“聴力固定”と考え、それ以降の投薬や治療の効果はないとされています。ご相談にあった「鍛える方法」や聴力を回復させる手術は今のところ確立されていません。

 

最後に、めまいや吐き気は「突発性難聴」だけが原因ではないかもしれません。疲れやストレスがたまり、自律神経が乱れ、そのような症状が起こることもありますし、脳出血や高血圧などの病気が潜んでいるおそれもあります。

おひとりで悩まれていては、気分も落ち込んでしまうでしょう。一度、お近くの耳鼻咽喉科クリニックを受診して、調べてもらうのもおすすめです。私達ドクターがあなたの不安な気持ちを少しでも取り除けるよう、待っていますから。

 

プロフィール

安田 洋 先生
安田 洋 先生

目黒通りハートクリニック 院長

東京内科医会理事

医学博士

循環器専門医

 

目黒通り沿いに「目黒通りハートクリニック」を開院。

専門の循環器・呼吸器だけでなく、心療内科・ピル外来・AGA/ED外来などいろんな病気や悩みに対応できる診療を提供。

http://meguro-heartclinic.com/

http://pp.meguro-heartclinic.com/

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