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知らずに感染が広がりやすい、淋病(淋菌感染症)

昔から「性病」といえば、淋病(淋菌感染症)の名前が出るほどはびこっていたSTDのひとつ。抗生物質の普及でいったんは感染者が減ったのですが、薬が効かない「耐性菌」が増えてきたため1990年代から再びジワジワと広がっています。クラミジアと同様に女性は自覚症状がほとんどなく、女性に深刻な後遺症をもたらすのが特徴です。

<淋病(淋菌感染症)>

淋菌と呼ばれる細菌の感染によって起こります。1回のセックスで感染する確率は30~50%と強い感染力をもっています。潜伏期間は2~10日間です。

女性は症状が出にくく、ほうっておくと不妊や子宮外妊娠の危険が

男性が感染すると、尿道からウミが出て排尿時に激しく痛みます。
一方女性の場合は、黄色いウミのようなおりものが出るとされていますが、多くは感染に気づかなかったり、無症状であるため、知らず知らずのうちに、炎症が広がっていくケースが少なくありません。子宮頸管→子宮→卵管→骨盤内へと炎症が広がり、腹膜炎を起こして緊急入院したり、卵管不妊や子宮外妊娠の原因になります。
妊娠中に感染すると、生まれてくる赤ちゃんが産道感染をして淋病結膜炎を起こすことがあります。

最近はオーラルセックスによるのどへの感染も増えてきています。また、目に入って十分な治療をしないでいると失明する可能性もあります。

治療は抗生物質で。治療後、再検査を受けておくことが大事

パートナーも一緒に検査と治療を

おりものの検査で診断します。抗生物質で治療しますが、薬が効かない耐性菌が増えているせいで、飲み薬だけでは治らなくなってきました。
そのため、今は、点滴や筋肉注射で抗生物質を投与することが治療の主流になってきています。
なお、淋病は耐性菌の増加で、治療を行っても完全に治りきらないことがあります。完治しているかどうかを確認するために、治療を終えて2週間後に必ず再検査を受けてください。治療直後の検査では、一時的に淋菌が減っているので完治していないのに「陰性」と出ることがあるので注意を。また、そのあと抵抗力をもった菌が出てくることもあります。したがって、再検査は治療後から2週間あけて受けることが大事です。

他のSTDと同様、必ずパートナーの治療と検査も一緒に行う必要があります。

クラミジアと淋病の検査をセットで受けておくと安心

ところで、クラミジア感染症も淋病も女性の場合は自覚症状が出にくく、気づいたときには炎症がかなり広がっていることが少なくありません。また、淋病に感染した人は、クラミジア感染症にもかかっているケースが少なくありません。最近は、クラミジアと淋菌を同時に検査することができるようになったので、セットで検査を受けておくと安心です。

プロフィール

清水(須藤)なほみ先生
産婦人科
清水(須藤)なほみ先生

2001年広島大学医学部医学科卒業
広島大学附属病院産婦人科・中国がんセンター産婦人科・ウィミンズウェルネス銀座クリニック・虎の門病院産婦人科を経て「ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~」を開業
日本産科婦人科学会専門医
日本不妊カウンセリング学会認定カウンセラー
所属学会:日本産婦人科学会・日本性感染症学会・日本思春期学会・日本不妊カウンセリング学会

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