プラスコラム
PLUS COLUMN

急増中のSTDから身を守るために必要なこと

女性はセックスも避妊も受け身でいるのは仕方がないこと、と思っていませんか? 望まない妊娠をしたり、STD(性感染症)に感染したり……無防備なセックスをして体も心も大きく傷つくのは女性のほうです。そんなことにならないためにも、セックスや体に関する正しい知識を持って、自分の体は自分で守りましょう。

セックスをするときに、コンドームは絶対必要条件!

セックスをする限り100%STDを防ぐことはできませんが、予防を心がけることでリスクを最小限にすることは可能です。それはコンドームを使うことです。
コンドームの使用目的を「避妊」と考えている人が多いのですが、第一の目的は「避妊」よりもむしろ「性感染症の予防」にあります。
ですから、たとえ女性が低用量ピルや子宮内避妊具でしっかりと避妊をしていたとしても、STD予防のために、セックスのときはコンドームは必要不可欠。コンドームを使わないでいいのは、「妊娠をめざすとき」だけです。それ以外は、たとえパートナーがひとりであっても、夫婦間であっても、そして妊娠中であってもコンドームを使用してください。

つけたがらない男性が多い

ところが実際には、男性の多くはコンドームなしのセックスを望んでいます。自ら率先してコンドームをつける人のほうが少ないといえます。
ある調査によると、大学生男子で「毎回きっちりコンドームを使っている」と答えたのはわずか3割程度。「ときどき使う」といった回答を含めても「コンドーム使用派」は約4割でした。「コンドームを使わない派」が半数以上もいることに驚かされます。
特に若い世代ほどコンドームを使わない傾向があるようです。実はここ10年くらいの間にコンドームの出荷数は年々下がっているのですが、それに反比例するかのようにSTDの罹患率が急増しています。

女性が賢くリードをしよう

STDが急増しているのに、男性がなぜ予防に積極的ではないのでしょうか。たとえば女性はSTDにかかると不妊や子宮頸がんにつながることがありますが、男性はそうした大きなリスクがほとんどありません。STDは、男性に比べると女性のほうが体の構造上感染しやすく、後遺症もずっと深刻なのです。
相手の男性が嫌がるから、とコンドームなしで言われるままにセックスをして、STDに感染した場合、大きなリスクを引き受けるのは女性のほうです。その点をちゃんと認識して、賢くきちんと積極的にリスクヘッジをしてください。


男性には、コンドームなしのセックスには応じられないということをきちんと伝えましょう。
ただし、セックスはふたりのコミュニケーションのひとつですから、伝え方にもひと工夫を。「コンドームをつけてよ!」と相手に命令したり、「なぜつけてくれないの!」と相手の不誠実さを責めたりするよりは、「私がつけてあげる」などと言ってつけてあげるのも相手の気持ちをやわらげるひとつの方法です。
それでも、「絶対コンドームはつけたくない」と言い張る男性なら、さっさと別れたほうがよいでしょう。自分の欲望を優先して、あなたのことを大事にしてくれない相手なら、いっしょにいても幸せにはなれません。

正しく使わないと意味がない

ところで、STD予防のために不可欠なコンドームですが、誤って使っている人が意外と多いので、注意をしてください。たとえば挿入の途中からコンドームをつけるのは、まったくの無意味。STD予防にも避妊にもなりません。
また、用心に用心を重ねるという意味でコンドームを二重につける人がいますが、これも逆効果。コンドームとコンドームの間に空気が入って、かえって破れたり破裂したりするので危険です。


それから、コンドームはオーラルセックスのときも必要です。のどがクラミジアに感染したとしてもそれだけで不妊にはならないから、問題ないのでは? と短絡に考えがちですが、これは誤りです。
のどにクラミジアが感染していたら、自分ののどから相手の性器に感染→相手の性器を介してまた自分の性器に感染するわけで、それが結局、女性の卵管炎の原因になるのです。
オーラルセックスも含めてセックスのときは、最初から最後まで、必ず正しくコンドームを使ってくださいね。

プロフィール

清水(須藤)なほみ先生
産婦人科
清水(須藤)なほみ先生

2001年広島大学医学部医学科卒業
広島大学附属病院産婦人科・中国がんセンター産婦人科・ウィミンズウェルネス銀座クリニック・虎の門病院産婦人科を経て「ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~」を開業
日本産科婦人科学会専門医
日本不妊カウンセリング学会認定カウンセラー
所属学会:日本産婦人科学会・日本性感染症学会・日本思春期学会・日本不妊カウンセリング学会

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