健診の尿検査、「尿蛋白+」「尿潜血+」は何のサイン?
健診結果の尿検査の欄に「尿蛋白(+)」「尿潜血(+)」の文字を見つけて、どきりとした経験はないでしょうか。実は、運動や発熱などで一時的に陽性になることもあれば、自覚症状のない腎臓や尿の通り道の病気を知らせるサインのこともあります。今回は、尿蛋白と尿潜血の結果の読み方について紹介します。
答えは「腎臓と尿路からの早めのサイン。ただし一時的なこともある」
結論から言うと、尿蛋白と尿潜血の(+)は、腎臓や尿の通り道(尿路)に何か起きている可能性を早い段階で知らせるサインです。ただし、採尿したときの体の状態で一時的に陽性になることもあります。
尿検査が健診に組み込まれている理由は、腎臓の病気が自覚症状に乏しいからです。腎臓の働きが慢性的に低下した「慢性腎臓病(CKD)」は成人の5人に1人が該当するといわれ、むくみやだるさが出たときにはすでに進行していることが少なくありません。
ただ、1回の(+)だけで病気と決まるわけではなく、再検査で「続いているか」を確かめることが大切です。
尿蛋白(+)が意味すること:腎臓の「ろ過」の乱れ
尿は、腎臓の糸球体(しきゅうたい)で血液がろ過されて作られます。体に必要なタンパク質はその後、尿細管(にょうさいかん)で血液に再吸収され、老廃物と余分な水分だけが尿として出ていく仕組みです。健康な人の尿にもごく微量のタンパク質は含まれますが、1日150mg以上になると「蛋白尿」と診断されます。
健診の尿蛋白は、陰性(−)・弱陽性(±)・陽性(1+以上)の段階で示されます。特定健診では、(±)は生活習慣の改善、(1+)以上は慢性腎臓病などの可能性があるため、医療機関の受診がすすめられる区分です。
ただし、激しい運動の後や発熱時、肉などタンパク質を多く食べた後には、体に問題がなくても一時的にタンパク質が尿に出ることも珍しくありません。これは「生理的蛋白尿」と呼ばれ、さらに、若い方では立った姿勢が続くことで出る「起立性蛋白尿」というものもあります。
こうした一過性のものと区別するため、健診で陽性が出たら日を改めて再検査するのが基本です。
尿潜血(+)が意味すること:尿に血が混じっている
尿潜血は、試験紙で尿に血液の成分(ヘモグロビン)が混じっていないかを調べる検査です。目で見て赤くなくても、顕微鏡で調べると赤血球が見つかる状態を「顕微鏡的血尿」といいます。
尿沈渣(にょうちんさ/尿を遠心分離して固形成分を集めたもの)を顕微鏡で見て、赤血球が5個以上あるかどうかで判断されます。
血尿の出どころは、大きく2つに分けられます。腎臓の糸球体からの出血と、腎盂・尿管・膀胱・尿道といった尿の通り道からの出血です。前者は腎臓内科、後者は泌尿器科が専門で、尿路結石や膀胱炎、尿路の腫瘍などが後者の代表です。
尿潜血にも一時的な要因があり、尿路の感染や月経、激しい運動、外傷などがあります。特に月経中の採尿は原則として避け、健診と重なった場合はその旨を伝えて後日に採り直しましょう。
「一時的」か「病気のサイン」かを分ける3つの軸
再検査や受診の場では、主に次の3つの軸で判断が進みます。
・採尿時の状況:運動後・発熱時・月経中に採った尿なら、日を改めた再検査で陰性に戻ることがある
・続いているか:再検査でも陽性が続く、または尿の異常が3か月以上続く場合は、慢性腎臓病など病的なものの疑いがある
・組み合わせ:尿蛋白と尿潜血の両方が陽性なら糸球体腎炎の疑いがあり、腎臓の精密検査が必要になることがある
起立性蛋白尿が疑われる場合は、早朝起床時の尿と来院時の尿を比べて判断します。また、尿潜血だけでも、喫煙歴がある方や、目で見て尿が赤い・コーラ色になったことがある方は、泌尿器科で優先的に詳しい検査を受ける対象になります。
結果を受け取ったら:再検査を後回しにしない
尿蛋白が(1+)以上なら、症状がなくても医療機関を受診しましょう。尿潜血が陽性のときも放置せず、医療機関で尿沈渣の検査を受けて血尿かどうかを確かめることが大切です。尿蛋白が(±)でも、高血圧や糖尿病、脂質異常症のある方は慢性腎臓病の危険因子を抱えているため、受診して詳しい検査を受けることがすすめられています。
受診の際は、採尿時の状況(運動・発熱・月経)や飲んでいる薬を伝えると医師の判断の参考になります。再検査で陰性に戻れば一時的な要因だった可能性が高いものの、年に1度の健診は続けましょう。
慢性腎臓病は、生活習慣の改善や高血圧・糖尿病の治療によって発症を予防でき、早い段階で治療を始めれば重症化を防げるとされています。症状がないからと後回しにせず、尿検査の(+)を体からの早めのサインとして受け止め、次の健診を待たずに医療機関で確認しておきましょう。
<参考>
※「たんぱく尿」(生活習慣病などの情報・e-ヘルスネット/厚生労働省)
※「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」(厚生労働省)
※「腎臓検診でわかること」(腎臓の病気について調べる/一般社団法人日本腎臓学会)
※「尿に血が混じる。血尿を指摘された」(こんな症状があったら/一般社団法人日本泌尿器科学会)
※『血尿診断ガイドライン2023』(血尿診断ガイドライン改訂委員会編 ライフサイエンス出版)

