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心を癒す「1/fゆらぎ」のリラックス効果

森の中に身を置き、川のせせらぎや鳥のさえずりなどを耳にしたとき、なぜか気持ちが落ち着き、リラックスした気分になります。

自然界の「ゆらぎ」が作用しているといいます。「1/fゆらぎ」というらしいのですが……?

 

「ゆらぎ」「1/fゆらぎ」とは、どんなもの?

たとえば森の木々が風に揺れ、ザーッ……といった葉ずれの音が聞こえてきたときや、静寂の中、どこからともなく鳥のさえずりが響き、遠くに流れる川のせせらぎに接したとき、気持ちがやすらぎ、体から力みが消え、深く癒されるような心持ちになります。

「ゆらぎ」とか「1/fゆらぎ(エフぶんのいちゆらぎ)」と呼ばれるものが、そうした穏やかで快適な気分をもたらしてくれるといいます。

「ゆらぎ」は、「(気持ちが)ゆらぐ」とか「(心が)ゆらいでいる」など、会話の際にふつうに使います。グラグラと安定しない様子をあらわす言葉ですが、自然科学や物理学での「ゆらぎ」は、風や波のように「不規則で予測できない変化の様子」といったような意味で使われるようです。

 なかでも「1/fゆらぎ」は「ゆらぎ」の代表格といえるのだそうです。周波数「f」(Frequency)は「ゆらぎ」の程度をあらわし、「規則的なもの」と「不規則的なもの」が、ほどよく混じり合い、調和しつつ、「心地よさ」や「癒し」を私たちにもたらしてくれるというのです。

 

自然界のもつ「ゆらぎ」って何?

そんな「1/fゆらぎ」は、自然界に満ちあふれています。

たとえば前述の森の木々のざわめき、小川のせせらぎ、鳥や虫の鳴き声、ほかにも木漏れ日、刻々と変わる風や雨に雲の動き、浜辺に打ち寄せる波、囲炉裏の炎やキャンプでの焚き火がパチパチとはぜる音、ろうそくの炎がゆらゆら揺れる様子など、それこそキリがありません。

 こうした不規則と規則的な2つの間で均衡が取れた「1/fゆらぎ」が、私たちにやすらぎや癒しを施してくれるのは、なぜでしょう。

「1/fゆらぎ」に身をゆだねていると、脳がリラックス状態になり、アルファー波と呼ばれる脳波を出すそうです。

アルファー波は心身をリラックスさせ、ストレスホルモンといわれるコルチゾールの分泌を抑制する働きがあるそうで、不安や緊張をほぐしストレスの解消にもなるといいます。

 さらに集中力や記憶力が高まるほか、睡眠の質の向上も期待できるといわれています。

 

「1/fゆらぎ」を取り入れて心に癒しを

森や川などの自然界のみならず、「1/fゆらぎ」は、ふだんの生活の中にも存在しているといわれます。

 たとえば電車の中でウトウト…コックリコックリ…ついにはぐっすりと眠ってしまい、終点まで乗り過ごしてしまったといった経験、ありませんか? じつは電車がレールを走るときのガタンゴトンという音と揺れ方のリズムには「1/fゆらぎ」のあることが知られています。

 また樹木の木目にも「1/fゆらぎ」があるといいます。木の特性を生かした建築物や古民家に入ると気持ちがゆったりと落ち着くのは、木目独特の「ゆらぎ」の効果といえるかもしれません。

 音楽と「1/fゆらぎ」の関係についても知られています。とくにクラシック音楽には「ゆらぎ」が含まれていて、リラックス効果や集中力の向上が期待できるといいます。バッハやモーツァルト、ショパンの楽曲と「1/fゆらぎ」の関係はよくいわれています。

 波の音や鳥のさえずりなどのヒーリング・ミュージックや、ピアノ、ヴァイオリン、アコスティックギターの音色も癒し効果があるそうです。

 

デジタルとアナログと「1/fゆらぎ」

現代はパソコンやスマートフォンなどのデジタルの刺激による「脳疲労」が懸念され、「デジタルデトックス」といったこともいわれています。

そんなデジタル全盛のなか、アナログ回帰というのでしょうか、いま、レコードプレイヤーや真空管アンプ、カセットテープレコーダーなど、アナログのオーディオ機器がひそかに人気を呼んでいるといいます。

あえて新曲をレコードで発売するミュージシャンがいたり、レコードを真空管アンプで再生するジャズ喫茶が海外で人気だったり、昭和の香りいっぱいのクラシック喫茶も話題になっているといいます。

フィルムカメラも、現像するまで写真の出来不出来の結果がわからないスリル感を味わえることからデジタル世代で人気のようです。

手間がかかって、ちょっと面倒な「ゆらぎ」感が満載のアナログの数々ですが、その不便さ、面倒くささを楽しみながら「デジタルデトックス」にもなる……そんな世界が広がっていきそうです。

 こんなさまざまなアナログ的なものによる「1/fゆらぎ」が、デジタル社会の「脳疲労」を癒す処方せんになってくれるといいですね。

 

<参考>

*「ゆらぎを感じ、心身回復~脳と心のサロン~」(東京新聞/2026.6.17)

*「心地よく感じる音、印象、環境には『ゆらぎ』がある」(日本気象協会)

*「『1/fゆらぎ』とは? 音とゆらぎの密接な関連性」(株式会社宮地商会/宮地楽器)

*「心を癒す音楽の力、1/fゆらぎのひみつ」(大阪音楽大学/音楽情報サイト)

*「集中力を上げるには脱スマホ依存。脳の健康のための6つの習慣」(大正製薬株式会社)

 

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。