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子どものスマホ問題、危険ゾーンに?

子どものスマホ使用が健康リスクと絡んで世界的な問題になっているようです。最近は低年齢化と長時間化が「子どもとスマホ」のトレンドだとか。

依存の心配もあるだけに「子どもまかせ」にできない問題ではあります。

 

「一億総白痴化」と揶揄されたテレビ

 かつて「一億総白痴化」という言葉が流行した時代がありました。テレビ草創期の頃です。評論家の大宅壮一氏がテレビを低俗なものととらえて語ったと伝えられています。

 それから60年余り、テレビによる「白痴化」はなんとか避けられたようですが、かつては「国民的メディア」といわれたテレビの時代から、いまでは大きく様変わり。グローバルメディアという言葉が示すように、現代はパソコン、スマホなどによるインターネット全盛の時代となりました。

 そんななか、大宅氏が当時のテレビに感じたように、いまのパソコンやスマホに潜む危うさは、専門家のみならず多くの人たちによって「いまもっとも身近にある危機」として広く認識されているようです。

 とくに子どもの「スマホ依存」とか「インターネット依存」「SNS依存」などについては、社会的な課題となっていて、新聞、テレビなどのメディアはもちろん、国や自治体、研究者を巻き込んで盛んに議論されています。

 

低年齢化、長時間化が最近の傾向

 スマホは一度、使い始めたら、「それ」のない世界には戻れない、とても便利なツールである反面、依存性のリスクも潜んでいます。使用開始年齢が低いほど、ネット依存、スマホ依存におちいりやすいといわれています。

 低年齢の子どもたちのネットの使用時間とその影響については、まだ研究データは少ないようですが、WHO(世界保健機関)では、「5歳まではゲームの画面を見る時間を1日1時間未満にするように」としています。

 しかし、子ども家庭庁の『青少年のインターネット利用環境実態調査(令和6年度)』によれば、利用の割合はすでに1歳で42.9%、2歳では56.4%と半数超え、3歳で72.6%、5歳で80.5%となり、8歳以上になると90%を超え、15歳以上は約99%がインターネットを利用しています。

 また、同調査によるとインターネットの平日1日あたりの利用時間は、小学生(10歳以上)は約3時間44分、中学生は約5時間2分、高校生は約6時間19分でした。平均でも約5時間2分にも上りました。0~9歳でも1日の利用時間の平均は約2時間9分。なかには5時間以上利用する小学生(6~9歳)が9.5%もいました。

 インターネット利用の低年齢化、長時間化の傾向が顕著といえます。

 

子どもの4割以上にネット依存の疑い?

 そんななか「スマホ・ネット依存が疑われる児童・生徒がいる」と答えた学校が、回答を寄せた学校の約半数にあたる46.2%に上ったとの調査結果が、全国の医師らで構成する全国保険医団体連合会(保団連)によって公表されました(全国31都道府県の小中高校などを対象に2025年に実施)。

「生活リズムが乱れて遅刻・欠席が増える」「すぐイライラする」「感情のコントロールがむずかしい」などの事例も多数あったといいます。

 また、小学生の1割強が「ネット依存」の疑いがあり、高校生の約3割が使用時間を減らせないなど、依存傾向がある「病的使用」の疑いがあるという大阪府での調査もあります(『月間保団連 2021.9 No.1353』より)

さらには「SNS(交流サイト)」の依存傾向があり「病的使用」が疑われる人が10歳代で7.0%だったという調査もあります(国立病院機構久里浜医療センター/2025年実施。全国9,000人対象)。20歳代の4.7%、30歳代の1.1%、40歳代以降の1%未満と比べて、その高い割合に驚きます。

ネット依存はけっして「他人事」ではなく、「すぐそこ」まできている、自分自身にも関わる大きなリスクといえるかもしれません。

 

スマホとの付き合い方、大人から見直しを?

 若年層の長時間に及ぶスマホやインターネットの使用は、学業への支障はもちろん、抑うつのリスクを高めるとよくいわれます。

他にも注意力や集中力、記憶力の低下、姿勢の悪化、視力の低下、睡眠障害などとの関連も指摘されています。運動不足による体力の低下も心配です。

さらにSNSの利用には犯罪などに巻き込まれる恐れもあります。

 スマホにはゲームやSNSなどの楽しくて便利な機能がついていて、ついのめり込んでしまいがちです。スマホの病的使用や依存は重度になると専門機関での治療が必要になります。スマホの使用を本人任せにしないで、「夜7時以降は見ない」「食事中は使わない」など、1日の中でスマホを使わない時間を設けるなど、家庭でのルール作りが大切といわれます。

 もちろん大人自身がスマホ漬けになっていないことは当然のことです。また、子どもの意思を確認しつつ、子どもの交友関係やお互いの家族も含めて、協力しながらスマホ使用に関する情報の交換はいかがでしょう?

 スマホは生活を充実させるためのツールの1つ。スマホは「使って」も、スマホに「使われる」ことのないようにしたいですね。

困ったときは総務省の『インターネットトラブル事例集』を参考にしてはいかがでしょう。

将来、「こんなことがあったね~」と笑って話せたらいいですね。

 

<参考>

*「ネット・ゲームが子供たちの心と体にもたらす影響~とうきょうの地域教育 N0.137」(東京都教育委員会)

*「コロナ後の健康状況とスマホ依存の広がり『2025年学校健診後治療調査』より/2026年4月16日」(全国保険医団体連合会)

*「コロナ前後で子どものネット利用はどう変わったか」(月間保団連2021.9 No.1353/全国保険医団体連合会)

*「健康ぷらざPlus スマホ依存―若者(青年期)への影響と対策」(日本医師会公式サイト)

*「スマホ依存の子『いる』46%」(東京新聞/2026.4.17)*「SNS依存疑い10代『7%』」(東京新聞/2026.4.24)

 

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。