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卵を食べると「抑うつ」のリスクが低下?

「気分が落ち込んでやる気が出ない」「なんだか憂うつ」といったことありませんか?  

季節の変わり目は心身に不調をきたしやすいともいわれます。 

ある研究によると卵の摂取がそんな「抑うつ」と関係しているらしいです。 

不調には適度な運動などで息抜きを 

本格的な夏を迎える前の時期は、仕事のストレスに加え、梅雨のジメジメとした気候の影響もあって、気分の不調など心身にさまざまなトラブルがあらわれやすいといわれます。 

放置すると「抑うつ」「うつ状態」にもなりかねないようです。 

こうした不調を長引かせないためには、早めに対処することが大切。 

例えば十分な睡眠をとり、適度な運動や趣味を楽しんだり、家族や友人とおしゃべりするなどが良いと専門家はいいます。 

何事も「がんばり過ぎない」ことも大切らしいです。 

また、「それ」をすると息抜きになる、自分なりの解消方法を見つけるのもいいようです。 

花をけてみる、知らない街を散策する、公園のベンチでボーッとする、少し贅沢な食事をするなど、なんでもいいそうです。 

「ストレスへの対応力」が高まるといわれています。 

 

卵を食べると抑うつリスクが低下 

ところで、卵は好きですか? 毎日、食べてますか?  

山形県立米沢栄養大学の研究チームが、食品群ごとの摂取量と「抑うつ」との関連について調査したところ、卵の摂取量が多いほど「抑うつ」のリスク低下と関連している可能性のあることが分かったということです。 

調査は2020年に自治体職員約570人を対象に実施。穀類や野菜類、肉類、卵類など15の食品群について、摂取量を「多い」「中程度」「少ない」の3グループに分けて、「抑うつ」との関連を解析しました。 

その結果、卵の摂取量の「多い人(1日1個以上)」と比較すると、摂取量の「少ない」男性は「多い人」の2.6倍、女性は2.7倍、「抑うつ」との関連が強かったそうです。 

 

淡色野菜にも「抑うつ」低下の効果 

また、淡色野菜では、女性で有意な関連が示されたそうです。 

大根や白菜、もやし、キャベツなどの淡色野菜の摂取量が「少ない」女性は、「多い(1日230g程度)」女性と比べて2.9倍、「抑うつ」との関連が強かったといいます。 

男性の場合は淡色野菜の摂取量が多くても少なくても「抑うつ」との有意な関連はなかったそうです。 

この研究によって、淡色野菜の摂取では男女で関連の差があったものの、卵では男女ともに多く食べる人ほど、「抑うつ」のリスク低下に関連する可能性が明らかになりました。 

 

脳内物質のトリプトファンが「抑うつ」に関係 

卵はタンパク質、ビタミン、ミネラルなどが豊富に含まれる「完全栄養食品」としてとても重宝されています。 

また、卵には必須アミノ酸のトリプトファンが豊富に含まれていて、これは脳内伝達物質のセロトニンの材料となることが知られています。 

セロトニンは不足すると抑うつの要因になるとの指摘もあります。 

卵はコレステロールが心配という人もいるようです。健康な人であれば1日1個にこだわることはないようです。 

ただ栄養バランスを考えれば、卵に偏ることなく、まんべんなく幅広い食品を食べることが大切といわれています。 

 

<参考> 

*「地方自治体職員における食品群別摂取量と抑うつとの関連」(山形県立米沢栄養大学) 

*「卵の摂取量少ないと抑うつに?」(東京新聞/2024.5.29) 

*「増える『6月病』あなたは大丈夫?」(沢井製薬株式会社) 

*「卵の知識」(一般社団法人日本養鶏協会) 

*「卵をタンパク質摂取に活用しよう!」(森永製菓株式会社) 

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。