
昆虫が世界を救う?
「昆虫食」がちょっとしたブームらしいですね。虫を食べるって、かつての食糧難の時代ならともかく、飽食といわれる今、なぜ昆虫食が注目されているのでしょう?
昆虫には豊富な栄養が含まれている?
「コンチュウショク」と聞いて、「昆虫食」を連想する人はかなりの事情通かもしれません。
コオロギにカブトムシ、イナゴやカイコといったお馴染みの昆虫たちを
「観察」「飼育」するのはなく「食べる」というのです。
「気持ち悪い〜」「何も虫を食べることもないでしょうに……」
たいていの人がそんな思いではないでしょうか。
昆虫食が注目されるきっかけは、2013年に公表された国連食糧農業機関(FAO)の「食品及び飼料における昆虫類の役割に注目する報告書」だといわれています。
それによると、今後、地球の人口が爆発的に増加した場合、深刻化する食料問題に対応する方法の1つとして昆虫食は注目に値するというのです。
昆虫にはタンパク質やカルシウム、良質の脂肪、鉄分、亜鉛などが豊富に含まれているといいます。
さらにウシやブタ、ニワトリなどの家畜と違って短い期間で育てることが出来て、飼料も少なくてすむという特徴があります。
つまり従来の家畜に比べて環境への負荷が少ないというメリットがあるというのです。
国連の示すSDGsつまり「持続可能な開発目標」にも深い関係があるとも言われています。
かつては昆虫は普通に食べられていた?
さらにこんなことも言われています。
「タンパク質危機」……。
世界の人口は現在約79億人(2021年)ですが、2050年には100億人に達すると言われています。
人口の急増によって遠くない将来、ウシやブタなどの肉類が不足し、動物性のタンパク質を十分に摂取できなくなると予測されています。
その救世主として一躍脚光を浴びたのが昆虫というわけです。
あの小さな虫たちが世界規模の食料不足、タンパク質危機を救うという稀有壮大なシナリオがそこにあります。
人類の未来が虫たちにかかっているといっても過言ではないのです。
でもそもそも世界では昆虫食は珍しいことではありません。
FAOによれば世界で1,990種類以上の昆虫が食べられているといいます。いちばん多いのはカブトムシなどの甲虫類(31%)、次いで毛虫(18%)、ハチやアリ(14 %)、イナゴ(13%)などです。
日本でもかつてはイナゴやハチの子、カイコなどの昆虫を食べる習慣がありました。
今でも伝統食としてそれらを食べたり、観光のお土産として親しまれている地域もあります。
食生活から絶滅したと思われた昆虫食の復活はなるのでしょうか?
<参考>
*「食品安全総合情報システム」(内閣府・食品安全委員会)
*「世界でも注目 昆虫食」(東京新聞/2022.4.2)