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脂質のとり過ぎが増えている! 見えない「アブラ」にご用心

近年の「国民健康・栄養調査」から、日本人の脂質のとり過ぎが明らになり、農林水産省が注意を促しています。

私たちは毎日知らず知らずのうちに脂質をとり過ぎているようです。

 

脂質の摂取量が増えている

「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、脂質の目標量は、1歳以上で20~30%とされています。

しかし、令和元年(2019年)国民健康・栄養調査の結果(厚生労働省)によると、脂肪エネルギー比率が30%を超えている人の割合は、20歳以上の男性では約35.0%、20歳以上の女性では約44.4%という結果が示されました。

食生活の欧米化に伴って、日本人の脂質の摂取量が増え続けているといわれています。

 

脂質は程よくとることが大事

 脂質は、炭水化物やタンパク質とともに生命活動を営むために必要な三大栄養のひとつ。体の中でエネルギー源として使われるほか、細胞膜やホルモンの材料となったり、脂溶性ビタミンの吸収を促したり、脳や神経系の機能を保つなど、重要な働きをもっています。

脂質はなくてはならない栄養素なのですが、一方でとり過ぎるとエネルギー過剰となり、肥満や動脈硬化、脂質異常症、糖尿病、冠動脈疾患などのリスクを高めるといわれています。また、脂質のとり過ぎは、大腸がん、乳がん、前立腺がんなどにも関与するといわれています。

よい油を賢くとることがすすめられます。

 

気をつけたい「油」とは?

では、どんな油がよい油なのでしょうか?

積極的にとりたいのは、青魚の油、亜麻仁油、エゴマ油などオメガ3脂肪酸を豊富に含む油だといわれています。 

一方で、とり過ぎに注意したいのが肉の脂身やラード、乳製品など含まれる油。またマーガリン、ショートニングなど、人工的に油脂を加工する際につくりだされるトランス脂肪酸も多量にとると悪玉コレステロール値を上げて善玉コレステロール値を下げるために、とり過ぎには注意したい油だといわれています。

 

菓子類や菓子パンに含まれる脂質に注意

女性の場合、「揚げ物はそんなに食べないから大丈夫」という人も多いようです。けれどもお菓子類や菓子パン類には、実は見た目以上に油脂がたっぷりと含まれています。脂っこいものは食べていなくても、目に見えない脂質を知らず知らずのうちにとっていることがあるので、気をつけて。

コロナ禍は在宅時間が長い分、間食のとり過ぎには十分に注意したいものですね。

 

<参考>

※「脂質のとりすぎに注意」(農林水産省)

※「食品中のトランス脂肪酸の低減」(農林水産省)

※「すぐわかるトランス脂肪酸」(農林水産省)

※「アブラの疑問大解決」(NHK出版『きょうの健康』2019年11月号)

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。