人間は何歳まで生きられるのか?
世界有数の長寿国といっていい日本。
「人生100年時代」などということも最近よく耳にします。いったい人間は何歳まで生きられるのでしょう。
秦の始皇帝も求めて叶わなかった「不老不死」はやはり夢なのでしょうか?
日本人の平均寿命は世界一?
厚生労働省の令和2(2020)年簡易生命表によると、日本人の平均寿命は女性で87.74歳、男性で81.64歳だそうです。
世界保健機関(WHO)によると日本の男女平均寿命は84.3歳で世界一。ちなみに2位はスイスで83.4歳、3位は韓国の83.3歳ということです(いずれも2019年)。
まさに世界の長寿国日本ですが、このままいくと2050年には日本の平均寿命は100歳にまで延びるのではないかといわれています。
これが「人生100年時代」といわれる所以でしょうか。
ところで平均寿命という言葉。よく誤解されてしまうようですが、調査したその年、たとえば2020年に亡くなった人の平均年齢ではないということです。
平均寿命とは「0歳児の平均余命」?
平均寿命というのは「0歳児の平均余命が平均寿命」なのだそうです。
つまり平均余命というのは、ある年齢の人があと何年生きられるのかを示すものなのです。
たとえば30歳の女性の余命は何年かを厚労省の簡易生命表(令和2年版)でみてみると、58.20年です。30歳の男性なら52.25年です。
どちらも平均寿命の数値よりは少し長生きということになります。
自分がこの先どのくらい生きられるのかを知りたいときは、この簡易生命表をみるのがいいかもしれません。
ただ、すべての人がこの簡易生命表に表された数字の年数を生きられるわけではないことはご存知の通りです。
あくまでも生きられる目安です。
人間の命の限界は何歳?
人間は何歳まで生きられるのでしょうか?
中国・秦の始皇帝は不老不死の薬を探させるために莫大なお金と人員をつぎ込み、そのために帝国の滅亡を早めたといわれています。
不老不死は古代から未来永劫に続く人間の憧れ、叶わぬ夢なのかもしれません。
人間に限らず、生命あるものは必ず死を迎えます。
どんなに平均寿命が延びたとしても100年生きる人間は稀でしょう。
「人生100年時代」が現実感を伴わないと感じる人も多いかと思います。
ちなみに2021年の厚労省の調べでは100歳以上の人は86,510人だそうです。「多い」「少ない」は人それぞれの感じ方でしょうけど……。女性はそのうち88.4パーセントも占めています。
ちなみに日本の最高齢の人も女性で118歳です。
ギネスブックによると長生きの世界記録は122歳だそうです。
やはりその辺りが人間の生きる限界のようです。
体の機能面から人間が何歳まで生きられるのかを推定した研究があるみたいですが、やはり120〜130歳あたりが限界だそうです。
長寿遺伝子で不老不死は現実になる?
「長寿遺伝子」とか「サーチュイン遺伝子」という言葉を聞いたことがあると思います。
老化や寿命に影響を及ぼすと考えられる遺伝子のことで、これを活性化することによって寿命を延ばすことができるといわれています。
おもしろいことにこの遺伝子は「空腹」によって活性化するということです。
つまり摂取カロリーを減らすと老化が防げて、さらに寿命が延びるという、とてもうれしい遺伝子というわけです。
さらにがんを抑制したり、脳を活性化するといったこともいわれているようです。
ただ、小動物を使った研究の段階で、人間にどれほどの効果があるかは未確定な部分が多いようで、不老不死はまだ夢の途中といえそうです。
老化の防止、健康長寿に特効薬はない?
「腹八分目」という言葉が古くからありますよね。
長寿遺伝子の研究や発見以前に、昔から食べ過ぎは健康の妨げになることが知られていたわけで、先人の洞察力には驚かされます。
「腹十二分目」とかいったカロリーに頓着しない食生活は、糖尿病などの生活習慣病の原因になることはいまでは誰でも知っています。
「急がば回れ」とか「急いては事を仕損じる」などのことわざが古くからあります。
当たり前でシンプルなことですけど、老化を防ぎ長寿に大切なことは、「食べ過ぎず」「病気にならず」「ストレスをためず」「適度な運動を心がけ」「添加物をとりすぎない」「栄養バランスのよい食事」といった、特に代わり映えのしない生活が、結果として特効薬になるのかもしれませんね。
<参考>
*「知ってなっとく からだの疑問」(小学館)
*「比べてビックリ! 生きものの寿命」(東京新聞/2021.9.19)
*「老けない食べ方ってあるの? 腹八分目が健康によいワケと、そのコツ」(ハウス食品グループ本社株式会社)