
「カミナリに遭遇したら、さぁ何処に逃げる?」
突然、雷雨に遭遇したとき、どうすればいいのか一瞬、迷ってしまいます。
たとえ遠くであってもゴロゴロっと雷鳴が聞こえたら一刻の猶予もありません。
雷はアッという間に近づいてきます。
落雷から身を守るにはどうすれば? どこに避難するのがいいのでしょう?
樹木の下は雷から身を守るには適さない?
近くに建物もない場所でいきなり雷雨におそわれ、雨宿りのつもりで近くにある樹木の根方に緊急避難。天気が回復するのを待とう……という気持ちはよく分かります。
でも、樹木の下に避難するのはやめたほうがいいです。
高い樹木は落雷の危険が大きく、木に落ちた雷に打たれて命を落とす事故が過去に何度も発生しているようです。
高い樹木の根方というのは一見、安全なように見えますが、雷は高いところに落ちる性質があるらしく、平坦な土地に生えた樹木は絶好の落雷の標的といえそうです。
これは樹木への落雷ではありませんが、この夏にも、花火大会の会場となった川原で雷がポールに落ちて、近くにいた数人の見物客がケガをしたというニュースがありました。
雷の直撃ではなく「側撃雷」といって、ポールに落ちた雷の電流が人にとび移ったことによるものらしいです。
樹木の根方に避難して雷に打たれる事故の多くは、この側撃雷によるものらしく、最悪の場合、命にかかわることもあるとか……。
いずれにしても樹木の下は雷から避難するには向かないということですね。
かつて人づてに聞いた話ですが、農家の人が畑や山林で仕事をしている最中、遠くで雷鳴が聞こえたら、農機具を放ったまま一目散に家に逃げ帰ったんだとか……。
雷のこわさを経験から知っていたんでしょうね。
遠くで雷の音が聞こえたら何はともあれ、とにかく安全な場所に逃げる……落雷に遭わない鉄則かもしれないですね。
気象庁のホームページによれば、樹木以外に煙突や電柱、鉄塔、ポールなどの高い建造物は落雷の危険があるので、近づかないのがいちばんということです。
最低でも4メートル以上離れ、かつ姿勢を低くするのがいいらしいです。
また、グラウンド、ゴルフ場やキャンプ場、公園や川原、山頂や尾根、海上など、開けた場所では人間が「高いもの」になるので注意が必要といわれています。低くしゃがんだときに持ち物は体より高く突き出さないことも重要だそうです。
また別の場所に移動するときは、雷の活動が止んでから20分以上経ってからにするのがいいらしいです。
避難するなら建物や車、電車の中。家の軒先は?
雷鳴が遠くに聞こえたり、真っ黒い雲が近づく様子を見せているときは雷がせまっていることを示しています。
街中であればとりあえず鉄筋コンクリートの建物の中に避難するのがいいようです。
木造の家の中、電車やバス、車の中は比較的安全だそうですが、ただオープンカーは安全とはいえないそうですからご注意を。
なかには、とりあえず誰かの家の軒先を借りて……という人もいるかもしれませんね。
でも、木の下に避難するのと同様に、家の屋根に落ちた雷が壁を伝って人に移るので危険なんだそうです。
ところで「雷は金属に落ちるから金目のものは外せ」と、よくいわれますよね。
でも、どうも雷は金属をねらって落ちるわけではないようです。
むしろ高いところに落ちる性質なので、たとえば傘の柄が電気を通さないプラスチックでも雷は落ちるのだそうです。
また、電気を通しにくいゴム製品を身につけていても落雷は防げないらしいです。
雷の電圧はそれだけ高いということなんだとか。
また「避雷針」ってありますよね。高い建物のてっぺんに立つ金属の棒。
あれって「雷が落ちないようにするもの」と思っている人、意外に多いのではないでしょうか。
避雷針の文字からの連想からなのかもしれませんが、避雷針は雷を落ちやすくするものなのだそうです。
落ちた雷を地面に逃がすことで建物を守るためのもので、いってみれば雷を誘い込む針だったんですね。
ただ、避雷針は建物を雷の被害から守ることはできても中のテレビや電話、パソコンなどは守れないそうです。
電線を通じて建物の中に伝わる誘電雷が原因らしいです。
家の中に避難しても100パーセント安全ではないといわれるのはそういうことらしく、ただ家電や天井、壁から1メートル以上離れるとグッと安全度が増すのだそうです。
最近では、雷を落とさないタイプの避雷針もあるらしいのですが、やはり自然現象は人間のコントロールの埒外といっていいかも……。
かつての「神鳴りさま」の呼び名は、そんな人知の及ばないものを表すには、まさにピッタリですね。
<参考URL>
*「雷から身を守るには」(気象庁)
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/toppuu/thunder4-3.html
*「雷の知識」(音羽電機工業(株))
http://www.otowadenki.co.jp/knowledge/
*「その知識は間違っている!? 雷のウソホント」((株)ウェザーニュース)
https://weathernews.jp/s/topics/201707/180285/yn.html