
トランス脂肪酸が体に悪いって、どういうこと?
「トランス脂肪酸は健康に悪い」といったことを耳にすることありますよね。
本当でしょうか?
どんな食品に含まれているのでしょう。
食は毎日のこと、気になりませんか?
トランス脂肪酸って、どんなもの?
「トランス脂肪酸は体に悪い」ってよくいわれますが、そもそもトランス脂肪酸はどういうものなのでしょう?
国の食品安全委員会によれば「トランス脂肪酸とは、脂質の構成成分である脂肪酸の一種」だそうです。
脂肪酸には、ウシやブタなどの主に動物性脂肪に含まれる飽和脂肪酸と、オリーブ油などの植物油やサバ、イワシといった青背魚に含まれる不飽和脂肪酸があって、トランス脂肪酸は、この不飽和脂肪酸の中のトランス型という構造を持つグループの総称だそうです。
トランス脂肪酸には、ウシやヒツジなどの反すう(一度飲み込んだ食べ物を胃に戻して、再び咀しゃくすること)動物に由来する天然のものとは別に、液体の油を固形に加工する際にできる「硬化油(加工油脂)」があり、マーガリンやショートニングなどがこれにあたるそうです。
トランス脂肪酸の健康への影響は?
トランス脂肪酸は血中のLDL(悪玉コレステロール)を増やし、HDL(善玉コレステロール)を減少させるといわれます。
摂り過ぎると心筋梗塞や狭心症などの冠動脈疾患を増加させる可能性が高いと指摘されています。
また肥満や喘息、アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患のほか、低出生体重児や流産などとの関連も報告されているようです。
ただ、これらはトランス脂肪酸の摂取量が、平均的な日本人よりも多い海外での研究結果であって、そのまま日本人に当てはめることは難しいようではあります。
とはいえWHO(世界保健機関)とFAO(国連食糧農業機関)は、2003年にトランス脂肪酸の摂取量を1日当たりの総エネルギー摂取量の1%未満にするように勧告を出しました。
トランス脂肪酸の摂取量の目安は?
例えば私たちが1日に食べる総エネルギー量を2,000kcalと仮定した場合、WHOの示すトランス脂肪酸の摂取量の目安の1%は約2gに相当します。
でも実際の摂取量はさらに少なくて、農林水産省の調査(2005~2007年度)では、日本人が食品から摂っているトランス脂肪酸の割合は、平均総エネルギー量の0.44~0.47%で、1人1日当たり平均0.92~0.96gでした。
食品安全委員会の評価(2012年)でも総エネルギー摂取量の約0.3%でした。WHOの目標値の1%を大きく下回る数値です。
「通常の食生活では健康への影響は少ない」といえそうですが、ケーキや揚げ物、肉類といった脂質に偏った食事をしている人は、やはり注意した方がよさそうです。
トランス脂肪酸が含まれる主な食品
日ごろから油ものが多い食事をしている人には、どの食べ物にどのくらいのトランス脂肪酸が含まれているか、ちょっと気になります。
農林水産省の調査(2016年)によると、例えばフライドポテトや鶏の唐揚げ、フライドチキンは0.15g、ロースカツやメンチカツは0.22gでした(いずれも中央値/100g当たり=以下同)。
冷凍食品では、コロッケが0.23g、クリームコロッケが0.14g、ハンバーグが0.19g、ピザは0.14g、パンケーキとたこ焼きは0.04gでした。
また、トランス脂肪酸が多いといわれたマーガリンやパン作りに使うショートニングのトランス脂肪酸の含有量が減少(マーガリンは0.99g、ショートニングは1.0g)していることも分かりました(2014~15年、同調査)。
他に気になる食品では、食パンが0.03g、クロワッサンが0.54g、ショートケーキが0.42g、ドーナッツが0.30g、マヨネーズが0.95gなどでした。
ただ、1つ1つの食品のトランス脂肪酸の含有量が少なくても、一度に多量かつ連日食べれば、結果的に健康リスクに繋がりかねず、やはり様々な食品をバランスよく摂取するという当たり前の食生活が重要のようです。
<参考>
*「すぐにわかるトランス脂肪酸」「食品中の脂質とトランス脂肪酸濃度」(農林水産省)
*「『食品に含まれるトランス脂肪酸』評価書に関する Q &A」(食品安全委員会)
*「トランス脂肪酸のご心配について」(ミヨシ油脂株式会社)