へそのゴマは取るべきか、取らざるべきか?
体のほぼ真ん中にある小さなへこみらしきものといえば、ご存知「へそ」。
ふだんはほとんど気にせず、その存在さえ忘れてしまっているほどです。
そもそも「へそ」は何かの役に立っているのでしょうか。
●「へそ」はどんな役に立っているのか?
おなかの中ほどにある傷跡のような、くぼみ、へこみ、なかにはでべそといわれるものなど、へそにはとても個人差がありますが、これは何かの役に立っているのでしょうか?
ご存知のように、へそは母親のおなかの中の胎児が、赤ちゃんとなって誕生したときに不要となったへその緒(臍帯)が根元で切られた「あと」です。
へその緒は切られたあと、その役割を終え、いわゆる「へそ」として残りました。
以来、へそは何かの役に立つことはなく、そこにあるだけの存在として今に至っています。
●母親と胎児はへそでつながっている?
赤ちゃん誕生とともにその役割を終えたへその緒ですが、現役のころは母親のおなかの中にある胎盤とつながって、胎児のために栄養や酸素を供給していたのはみなさんご承知の通り。
ところが驚くことに別の解釈をしている人が多くいるらしいのです。
それは胎児から伸びたへその緒と、妊娠中の母親のへそが、体内(胎内)でつながっているというもの。
そんなエピソードがラジオで紹介されていました(TBSラジオ『イモトアヤコのすっぴんしゃん』より)。
胎児からのへその緒がつながっているのは、母親のへそではなくて胎盤の方。まったくの間違いですけど、とても微笑ましい珍説ですね。
●へそのゴマの正体は体のあかやホコリ
へその形は、生まれたときにへその緒を切ったときの状況によるものだそうで、縦型、横型、丸型など千差万別。とても個性的です。
へその深さも人それぞれのようです。花王株式会社の調べによると平均で1.8センチ、深い人では3.5センチ以上もあったということです(花王調べ、100名調査データより)。
そんなへそにたまるのが「へそのゴマ」といわれるもの。
成分は耳あかと同じで、体のあかや皮脂、ホコリなどがかたまったものだそうです。
このへそのゴマの悩ましいところは、とっていいのか悪いのか問題です。どっちなのでしょうか?
●ゴマは「とる」のか「とらない」のか?
幼いころ、「へそのゴマを取るとポンポン(おなか)が痛くなるよ」といわれたことありませんか?
へその裏側は腹膜につながっているといわれ、とても敏感な場所のようです。これがへそを刺激するとおなかが痛くなる理由と考えられます。
へそのゴマ自体は有害ではないので放っておいてもかまわないようですが、かといって取らずに放置すると細菌が繁殖して炎症を起こしたり匂いを発することもあるようで、気になるときはやさしく、ていねいに取り除くことが望ましいといわれます。
●オリーブオイルでゴマを柔らかく
へそのゴマをとるときは、オリーブオイルを数滴、へその中に垂らし入れ、ゴマを柔らかくしたら綿棒でやさしく、見えるゴマだけをそっと拭き取るのがいいらしいです。
へその奥までグリグリと強引に取ろうとすると粘膜や腹膜を刺激してお腹が痛くなったり、傷つけたりするのでやめたほうがよいとか。
頻繁にゴマをとる必要はないそうですから、へそにゴマを見つけたら取るといった程度でよさそうです。
へそのゴマ取り用の商品も市販されているようです。
<参考>
*「知ってなっとく からだの疑問」(小学館)
*「へそのゴマをとるとお腹が痛くなるのは本当?」(国民健康保険 八戸市民病院)
*「へそのゴマの正体は?」(日刊ゲンダイヘルスケア/2021.3.30)