プラスコラム
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更年期は体の総点検を!

更年期になると女性は大なり小なりさまざまな不調に悩まされるようになります。でもなんでも「更年期のせい」にしてはダメ。 

更年期だからこそしっかり健診・検診を受けましょう。 

 

更年期症状は100種類以上も! 

女性ホルモンが大きく乱高下する更年期は、いろいろな形で不調が現れることで知られています。 

更年期の症状としてはのぼせやほてり発汗などが代表的ですが、それ以外にも冷えや頭痛、倦怠感、もの忘れ、肩こりや腰痛の悪化、しびれ感などなど、更年期症状はその数100種類以上あるといわれています。 

こんなに多くの種類があるのですから、人によって更年期の不調の中身が違うこともうなずけます。 

更年期は頭の先から足の先まで不調が起こりやすいとき。いわば「体の節目どき」でもあるのです。 

 

更年期の陰に病気が隠れていることも 

 この時期からだ不調があると「更年期だからしかたがない」のと思われがちですが、実は不調の陰に病気が隠れていることが少なくないそうです。 

 例えば、更年期症状のひとつに関節痛があります。けれども関節痛は、膠原病などや整形外科疾患などが原因でも起こります。 

とくに関節リウマチと変形性関節症は比較的更年期年齢の女性に起こりやすいといわれています。 

 

更年期と間違われやすい病気が多い 

 ほかにも更年期症状によくある「動悸、息切れ」は狭心症や鉄欠乏性貧血、甲状腺の病気などでも起こりますし、頭痛やめまいは脳腫瘍など脳の病気や高血圧の症状でもあります。 

とくに女性に多い甲状腺疾患は、更年期に起こりやすく、症状が似ているのでご用心。 

更年期によくある、のぼせやほてり、発汗、手足の冷え、皮膚の乾燥、不眠、イライら、月経不順などは甲状腺の病気でもみられるそうです。 

不調が気になるときには「更年期だからしかたがない」と放っておかずに、整形外科や内科などそれぞれの専門科や婦人科を受診して、適切な診断を受けることが大切です。 

 

更年期に注意したい女性のがん 

ところで、更年期世代は乳がんや子宮がんにも注意が必要です。乳がんは40代後半から60代後半にかけて起こりやすいことがわかっています。 

子宮体がんもまた更年期を迎える40代後半から増えていくがんです。 

子宮体がんの場合、もっとも多い 自覚症状は不正出血だといわれています。 

更年期や閉経以降で不正出血がある場合は、必ず婦人科を受診することをおすすめします。 

 

健診・検診を受けて体のメンテナンスを! 

 更年期年齢は、女性の生活習慣病の発症年齢と重なるといわれています。女性の健康を守るエストロゲンが減少すると、動脈硬化や脂質異常症、高血圧症なども増えてきます。 

 更年期は職場や家庭での負担も増える時期です。 

でもだからこそ忙しくても、健康診断やがん検診はしっかり受けて病気の有無をチェックすることが大事です。 

 人生100年といわれる時代。更年期世代はちょうど人生の折り返し地点にいます。病気のチェックともに、食習慣や運動習慣も見直しましょう。 

この時期に体のメンテナンスをしっかり行って続く後半の人生を元気でいきいき過ごしたいものですね。 

 

<参考> 

※『更年期障害 これで安心』(小学館 堀口雅子監修) 

※「健康の森 更年期障害」(日本医師会) 

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。