病気・トラブル辞典
SICKNESS & TROUBLE DICTIONARY

外反母趾
[がいはんぼし] 体の病気 骨・関節

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外反母趾と正常な足

[外反母趾]           [正常な足]

足の親指(母趾)のつけ根の関節の部分が小指側に曲がった状態(外反)をいいます。
ただ親指が外反するだけでなく、親指のつけ根の関節とつながっている中足骨(ちゅうそくこつ)は内側に向かってが開き、その先の骨は関節で「くの字」に曲がるのが特徴です。
かかとの高い靴や爪先のとがった靴をはく女性に多くみられますが、男性や小児にもみられるものです。
肉親に外反母趾の人がいると、発生する確率が高くなることから、遺伝的な要因も考えられます。
進行すると膝の変形や腰痛が起こることもあります。

症状

親指のつけ根の関節部分で指が外反し、関節が突き出します。
関節内には、動きをなめらかにする滑液包(かつえきほう)と呼ばれる液を包んだ袋があります。
窮屈な靴などで滑液包が圧迫されると、滑液包炎(バニオン)が起こり、赤く腫れたりズキズキとした痛みを生じます。
進行すると、足裏の横のアーチが崩れて、母趾と第2趾のあいだが広がる開張足(かいちょうそく)が起こります。また、母趾が亜脱臼する場合もあります。
一般的に外反した母趾の角度によって、9~15度は正常、15度以上20度未満が軽度、20度以上40度未満が中程度、40度以上が重度の外反母趾とされています。

原因

発症年齢をみると、ごく若い10歳代に起こるケースと、40歳代の中年期以降に起こるケースがあります。
10歳代に発症する外反母趾は肉親に同じ症状の人がいる場合がほとんどで、遺伝的な素因が関係していると考えられます。 先天的に足底筋が弱い人や横のアーチが低い偏平足気味の人、第2趾より母趾が長い人によくみられます。
40歳代以降に発症する場合は、長年足に合わない靴やかかとの高い靴を履いていたことが原因と考えられますが、筋力の低下や体重の増加が変形をさらに助長させます。

治療

痛みがある人には、鎮痛薬を処方します。しかし、薬で痛みを抑えても放置すれば症状は進行します。
軽度の人や変形があっても痛みのない人、変形が強くても手術を望まない人には、外反母趾専用の靴、母趾と第2趾の間に装着する矯正具や足定板などを使用して、これ以上変形が進まないように保存的治療を行います。
また、足裏の筋力を強化する運動をして進行を抑制します。床にタオルなどを広げ、両足の指で少しずつ引き寄せる運動が効果的です。
痛みが強くなったり、変形が進んで歩行が難しくなった場合には、手術が必要になります。手術には、母趾の骨切り術、靭帯を切って矯正する方法などがあります。

注意したいこと

何より変形が強くなる前に、進行を予防することが大切です。自分の足に合った靴を選び、長時間歩いたあとは足指のストレッチングをして、足をいたわりましょう。
タオルを足指で引き寄せる運動に習慣にしたいものです。とくに、遺伝的な素因のある人にはおすすめです。
また、母趾のつけ根の炎症は痛風などでも起こるので、自己判断せずに医師の診察を受けましょう。