病気・トラブル辞典
SICKNESS & TROUBLE DICTIONARY

膀胱瘤
[ぼうこうりゅう] 体の病気 泌尿器(腎臓・尿)

受診するなら

婦人科、泌尿器科

膀胱が正常な位置から下降して、その一部、あるいはすべてが腟から外に出てくる状態です。
外に出た膀胱が丸い瘤(こぶ)のような形をしているため、膀胱瘤と呼ばれています。膀胱脱と呼ばれる場合もありますが、同じものです。女性だけに起こる病気です。

症状

腫瘤が腟から脱出すると、股間につねに物が挟まっているような不快感があります。
尿道口が腫瘤にじゃまされ、尿が完全に出きらず膀胱内に残ってしまいます。そのため、残尿感や頻尿が起こります。
横になってやすんでいると、腫瘤が体内に戻ることもありますが、長時間立ったり歩いたりしたあと、排便時に強くいきんだりしたときなどには、ふたたび脱出してきます。

原因

女性の骨盤の中には、膀胱、尿道、子宮、腟、直腸など多くの臓器があり、それらを支えているのが骨盤底筋(こつばんていきん)です。この筋肉が弱くなったり緊張がゆるんだりすることが、膀胱瘤の原因になります。直腸や小腸が脱出する直腸脱・小腸脱、子宮が脱出する子宮脱などと合併して現れることが多いものです。
出産回数が多い人、難産だった人、重いものをもつ仕事をする人などがなりやすく、加齢によって骨盤底筋が弱くなる高齢者にも多く発生します。

治療

膀胱瘤が軽度の場合は、骨盤底筋を強化する体操(骨盤底筋体操)をすることで、改善することができます。
しかし、ある程度進んだケースでは、手術が必要です。腟の壁を開いて脱出した膀胱を正常な位置に戻し、腟を縫い縮める腟前壁縫縮術を行います。

注意したいこと

重い荷物を持ったり、強くいきんだりすると発症しやすく、手術で完治しても再発のきっかけになります。肥満は骨盤底筋に負担をかけるので、体重の管理が必要です。
また、便秘もよけいな力が加わるので、バランスのよい食事や適度な運動を習慣にして改善しましょう。

骨盤底筋体操

骨盤底筋体操は、簡単に言うと自分の意思で腟や肛門を動かすトレーニング。
まずは、基本動作をマスターして、慣れてきたら日常生活の中に取り入れて習慣化しましょう。

●体によけいな力を入れないで、腟と肛門を軽くキュッと締めたり、ゆるめたりします。
これを2~3回繰り返す。
      
●今度は、ゆっくりギューッと締めたり、ゆるめたりします。これを2~3回繰り返します。
      
●骨盤底筋全体を体の中に引き込むように、ゆっくりグーっと持ち上げて、次にゆっくりゆるめたりします。これを2~3回繰り返すします。

骨盤底筋体操・あおむけに寝て

[あおむけに寝て]

骨盤底筋体操・椅子に座って/机に手をついて

[椅子に座って]                 [机に手をついて]