病気・トラブル辞典
SICKNESS & TROUBLE DICTIONARY

腎盂腎炎
[じんうじんえん] 体の病気 泌尿器(腎臓・尿)

受診するなら

泌尿器科、内科

細菌感染による腎臓に炎症を起こした状態をいいます。
片側の腎臓の場合と両方の腎臓に起きるケースがあります。
糖尿病の人、尿管に閉塞(へいそく)がある人、ほかの感染症にかかっている人、妊娠している人などは、腎盂腎炎にかかるリスクが高くなります。
また、腎盂腎炎全体の約3分の1で、膀胱炎の併発がみられます。

症状

腎盂腎炎は、突然の激しい悪寒、ふるえをともなった高熱で始まります。続いて感染した腎臓側の腰の痛み、吐き気、嘔吐、全身の倦怠感などが現れます。ひんぱんに尿意を感じたり、排尿時の痛み、残尿感などの膀胱炎の症状をともなう場合もあります。
腎盂腎炎をくり返すと、慢性腎盂腎炎になりますが、この場合は痛みの部位がはっきりしなかったり、熱もそれほど上がらず、全身の倦怠感がおもな症状になります。慢性腎盂腎炎になると、腎臓の機能は徐々に低下し、腎不全に至ることがあるので注意が必要です。

原因

原因となる細菌のいちばん多いものは、大腸菌、セラチア、緑膿菌、シトロバクターなどグラム陰性桿菌(いんせいかんきん)といわれるグループです。
とくに大腸菌が原因となる場合が多く、全体の90%近くを占めるともいわれています。
感染経路としてもっとも多いケースは、外陰部から尿道をへて膀胱に入り、さらに尿感をさかのぼって腎臓に達する「尿路上行性感染(にょうろじょうこうせいかんせん)」です。
健康な人の場合、尿の流れが細菌を洗い流すうえ、尿感が膀胱の入り口で閉じることによって、腎臓への感染を防いでいます。尿の流れを悪くする尿路の病気(腎臓や尿路の結石・前立腺肥大など)があったり、全身の病気(糖尿病痛風などの代謝疾患)があると、腎盂腎炎を発症しやすくなります。

治療

抗生物質の投与と安静を保つことが基本です。水分を多くとることも必要ですが、吐き気などがあって水分を取りにくいときは、点滴をします。
尿路の通過障害や形態異常がなければ、抗生物質の内服薬を約2週間続けると症状はおさまります。症状がおさまった段階で、腎盂造影や膀胱造影などの検査をし、尿路に異常が発見されれば、その治療が必要になります。

注意したいこと

腎盂腎炎は、一度は治ったと思ったものが再発したり、おさまっていた炎症が再燃することがあります。医師の指示にしたがって、経過を慎重にみることが大切です。
腎盂腎炎をくり返すと慢性化し、腎不全に至ることがあるので、注意が必要です。