病気・トラブル辞典
SICKNESS & TROUBLE DICTIONARY

直腸脱
[ちょくちょうだつ] 体の病気 消化器(胃・腸)・肛門

受診するなら

肛門科、外科

排便でいきんだときなど肛門に圧力がかかったときに、肛門から直腸粘膜、あるいは直腸壁全層が肛門から外に出てしまう病気です。肛門の外にできる外痔核とはまったく別のものです。
直腸壁全層が脱出するものを完全直腸脱、直腸粘膜だけが脱出したものを不完全直腸脱と呼ばれます。

症状

排便時の直腸粘膜の脱出が初期症状です。軽いうちは指で押し込めばもとに戻りますが、進行するとふだんでも脱出した状態になります。さらに進行すると直腸壁全層が肛門から出てしまいます。
肛門括約筋(こうもんかつやくきん)はたらきが低下し、排便障害や出血を生じます。

原因

肛門括約筋や直腸を骨盤内に固定している組織と骨盤底筋が何らかの原因で弱くなったことが原因と考えられます。
組織が弱くなる原因としては、加齢、妊娠・出産、排便時に過剰に腹圧をかける習慣などが挙げられます。そのため、高齢者に多くはみられる病気ですが、小児や若い人でも発症します。

治療

小児は、成長とともに自然に治ることが多いので、とくに治療は必要なく、便秘にならないように気をつけ、排便時にいきみすぎないように注意します。
成人では、手術による治療が適しています。直腸の後方と側方を遊離してつりあげ、固定する手術が有効です。

注意したいこと

直腸脱は、直腸がんの有無を鑑別することが重要で、受診時に内視鏡検査を行う必要があります。