病気・トラブル辞典
SICKNESS & TROUBLE DICTIONARY

大腸がん(結腸がん・直腸がん)
[だいちょうがん] 体の病気 消化器(胃・腸)・肛門

受診するなら

消化器科、内科
人体の内臓(消化器)

がんが発生した部位によって結腸がん、直腸がんにわけられます。
結腸がんでも日本人に多いのはS状結腸にできるがんです。
最近、大腸がんは日本人に増加していて、動物性脂肪やタンパク質のとり過ぎなど、食生活の急激な欧米化が原因ではないかといわれています。
遺伝による大腸がんの発症も数%程度あると考えられています。

結腸がん

虫垂、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸といった結腸にできるがんです。
日本人の場合、ほとんどはS状結腸にできます。

●症状
便に暗赤色の血液が混じっている、便が細くなる、残便感、腹痛、下痢と便秘をくり返すなどの症状がみられます。血便を痔と勘違いして受診が遅れることがあります。
健診での便潜血反応で発見されることがあります。

●治療
外科的な手術療法が基本です。がんが粘膜にとどまる早期のがんには、内視鏡を使って切除します。腹部を小さく切るだけの腹腔鏡手術を行うこともあります。
進行がんや転移などがみられる場合は、開腹手術で周囲のリンパ節を切除したりします。抗がん剤治療や放射線療法を行うこともあります。

直腸がん

大腸の中でも肛門に近い部位を直腸といい、そこにできるがんです。
大腸がん全体の4割程度を占めます。

●症状
もっとも多いのが便に赤い血が混じることです。お尻を拭くとトイレットペーパーに血液が付着して気がつきます。
痔でも出血がみられますので、痔と勘違いしてしまうことがあります。出血がみられたら痔との区別が必要なので必ず受診しましょう。 ほかの症状として、下痢と便秘をくり返したり、残便感、便が細くなるといった排便の異常がみられます。

●治療
外科的な手術が基本です。がんが粘膜にとどまる早期のがんには内視鏡による切除が行われます。
早期でもがんが粘膜を超えて深く広がっている場合は、開腹して追加切除が必要になります。
進行した直腸がんの手術では、肛門を温存する手術を行ったり、排尿や性機能に影響が出ないような手術が普通になってきました。手術に加えて抗がん剤や放射線療法を組み合わせることもあります。
また、最近では排尿や性機能に関係する神経を温存する手術によって、それらの障害も少なくなりました。

●注意したいこと
直腸がんというと人工肛門をイメージしますが、いまでは手術方法の進歩から肛門を温存する手術が可能になりました。ただ、健康なときと同じ排便状態とはいえないことは理解しておきましょう。
また、人工肛門を装着しても、運動したり仕事に復帰することは可能です。
ただ周囲の皮膚は便や細菌などの影響を受けて皮膚炎などを起こしやすいので、皮膚を清潔に保ち、下痢をしないように注意しましょう。