病気・トラブル辞典
SICKNESS & TROUBLE DICTIONARY

肺結核
[はいけっかく] 体の病気 循環器(心臓)・呼吸器(肺)

受診するなら

内科

結核菌が原因の細菌感染症です。肺結核はかつては「国民病」といわれるほど蔓延(まんえん)していた病気ですが、治療法の確立などにより戦後は激減しました。
そのため、すでに過去の病気と思われがちですが、現在でも日本国内では毎年3万人もの人が発病している油断できない病気です。

症状

初期のうちはほとんど症状が出ません。ある程度進行すると、せきと痰(たん)が出て、微熱が続きます。ほかに血痰(けったん)や胸の痛み、食欲不振などの症状もあります。
また、だるさや体重減少などもみられるようになります。症状がかぜに似ているため、そのままほうっておいて、重症になってから受診するケースが少なくありません。
せきや微熱が1週間以上続く場合は、かぜ以外の病気を疑って、早めに受診しましょう。

原因

結核菌に感染して起こります。最初に感染するのが肺です。感染経路は飛沫(ひまつ)感染で、肺結核にかかっている人のせきやくしゃみに含まれる結核菌を吸い込むことで、人から人へとうつっていきます。しかし、痰(たん)に結核菌が多量に出ていなければ伝染力は強くありません。
また、結核に感染してもそれですぐに発病するわけではありません。体の抵抗力が低下している場合は、結核菌が活性化して発病しますが、多くの場合、免疫により感染巣が封じ込まれて、発症せずにすみます。
ただ、結核菌は死滅せずそのまま体内に生き続けます。そして、ストレスや栄養不良などで体の免疫力が低下すると、再び活性化して肺結核を発症させてしまうことがあります。
高齢者は結核が横行している時代に育っているので、一度は結核菌に感染している可能性が高いと考えられます。したがって、高齢者は新たに結核菌に感染していなくても、何かのきっかけで体の免疫力が低下したときに肺結核を起こすことがあります。

治療

いくつかの抗結核薬を組み合わせて治療します。症状にもよりますが、服用期間は半年~1年くらいです。周囲への感染を防ぐために入院治療が原則ですが、症状が軽く、人に感染させる可能性が少ないと判断された場合は、通院治療を行います。