病気・トラブル辞典
SICKNESS & TROUBLE DICTIONARY

糖尿病
[とうにょうびょう] 体の病気 循環器(心臓)・呼吸器(肺)

受診するなら

内科、内分泌科

膵臓から分泌されて糖の代謝をつかさどるインスリンの分泌が不足して、糖の代謝が正常に行われずに、慢性的に血糖値が高い状態になる病気で、次の2つのタイプがあります。

1型糖尿病
自己免疫異常といって、細菌やウイルスなどの外敵から体を守る防御機構が何らかの原因で自分の細胞を攻撃してしまう免疫の異常が原因で、膵臓からインスリンがほとんど分泌されなくなります。
多くは、幼児から15歳以下の小児期に発症します。発症すると、自然治癒することはないので、インスリンを注射して補充することが欠かせません。
2型糖尿病
遺伝的要素に加えて、加齢、肥満、運動不足、ストレスなどが要因となって、インスリンの分泌が不足して起こります。高血圧や脂質異常症(高脂血症)とともに生活習慣病の1つです。
日本人の糖尿病の9割以上は、この2型糖尿病です。一度発症すると完治することは難しいのですが、食事療法や運動療法などを中心に生活習慣を見直し、適切な治療を受けて血糖をコントロールすれば、インスリンの投与をしなくても通常の生活を送ることができます。

症状

初期はとくに症状はありません。病状の進行にともなって、のどの渇きや水分の異常な摂取、多尿、倦怠感、体重減少などが現れます。
症状をコントロールせず放置していると、糖尿病の3代合併症といわれる網膜症、腎疾患、神経障害のほか、足の壊疽(えそ)、動脈硬化による狭心症や心筋梗塞、脳梗塞白内障などの合併症が起こってきます。また尿路感染症、気管支炎肺炎肺結核、水虫などの感染症を起こしやすくなります。

原因

1型は自己免疫の異常が原因と考えられます。
2型は糖尿病の遺伝因子を持つ人に、肥満や運動不足、ストレスなどが引き金となって発症します。

治療

2型については、血糖をコントロールするための治療が基本です。 そのためにはまず、食事療法と運動療法など生活習慣の見直しを行ないます。

とくに食事療法は、糖尿病の治療の基本です。(1)低エネルギーの食事、(2)炭水化物、タンパク質、脂質の3大栄養素をバランスよく摂取する、(3)ビタミン、ミネラルが不足しない、の3点を心がけます。糖尿病の食事は特別なものではなく、必要なカロリーをバランスよく摂取することが原則です。絶食するなどの極端な療法はリバウンドを招くとともに糖尿病を悪化させてしまいます。

その人の1日に必要な総エネルギーを計算し、その範囲内でバランスのよい献立を工夫します。計算には標準体重<身長(m)×身長(m)×22>を用います。
1日に必要なエネルギー量は、標準体重に25や30を掛けて計算します。塩分や水分が制限されることもあるので、主治医や病院の栄養士などにエネルギー摂取量や味付けなどを指導してもらいましょう。

運動は、血糖値を下げたり脂質の代謝を改善し、肥満解消にも役立ちます。ウォーキングや軽いジョギング、自転車、エアロビクスなどの有酸素運動がおすすめです。
1日15分以上の運動を毎日か1日おきに行なうのがよいでしょう。たまに行なう激しい運動よりも定期的に行なうこうした軽い運動が効果的です。
これら食事療法、運動療法でも血糖値が基準値にならない場合、症状に応じて、血糖降下剤の服用やインスリン注射を行います。

なお、1型糖尿病は、インスリンがほとんど分泌されないので、1日2~4回インスリンの皮下注射が必要になります。

注意したいこと

糖尿病でこわいのは合併症です。
治療しなかったり、医師の指示を守らず血糖のコントロールが悪かったりすると、網膜症から失明したり、腎臓障害から腎不全になり人工透析が必要になることもあります。また、肺水腫や心不全、尿毒症昏睡など、命にかかわる病気に発展することがあります。
糖尿病と診断されたら、食事療法や運動療法など、めんどうでつらい面もありますが、医師の指示をよく守り、血糖を良好にコントロールするように努力しましょう。