病気・トラブル辞典
SICKNESS & TROUBLE DICTIONARY

狭心症
[きょうしんしょう] 体の病気 循環器(心臓)・呼吸器(肺)

受診するなら

循環器科、内科

心臓を動かしている筋肉(心筋)に血液を送っている冠動脈の血管が、動脈硬化のために細くなって血流が悪くなると、心筋は一時的に酸素不足に陥ります。
その結果、発作的に胸の痛みや圧迫感を起こす病気です。

症状

痛みは心臓の位置に起こるとは限りません。胸の中央からみぞおちかけてと広い範囲で、鈍痛や圧迫感、胸が締め付けられるような痛みが現れます。
放散痛(ほうさんつう)といって、痛みが左腕や左肩、あご、みぞおちまで広がることがあります。
そのほか、歯が痛む、吐き気がすると訴える人もいます。
痛みは数十秒から数分程度で消えます。 痛みがどんどんひどくなり、15分以上続く場合は心筋梗塞が疑われます。
狭心症には、次の「労作性狭心症」と「安静時狭心症」があります。

●労作性狭心症
坂道や階段を上る、急いで歩く、重い荷物を持つなど体を動かしたときに発作が起こります。
また、トイレでいきんだり、急に寒いところへ出たとき、食べすぎたときなどの状況でも起こります。

●安静時狭心症
運動とは関係なく、安静時に起こるタイプです。
睡眠中や夜間~早朝にかけて起こりやすいのが特徴です。不整脈をともなうこともあります。

原因

もっとも大きな原因は動脈硬化にあります。
動脈硬化によって、冠動脈の内腔が狭くなっていると、運動や温度差など心臓に負担がかかり仕事量が増えたときに、それに見合った血液を送り出すことができません。その結果発作が起こります。これが労作時狭心症です。
安静時狭心症は、冠動脈が部分的にけいれんを起こし、急に内腔が狭くなって十分な血流が得られなくなって起こります。

治療

治療の第一は、これ以上動脈硬化を進行させないことにあります。
そのためには、食生活と生活習慣を見直すことです。 禁煙や体重管理、血圧のコントロールなど、リスクを減らすことが何よりも重要です。
薬物治療では、冠動脈の内腔を拡げる薬や脈拍を抑える薬などを使います。代表的な薬に硝酸薬やカルシウム拮抗薬、β遮断薬などがあります。
手術療法では、冠動脈形成術が主流です。カテーテルと呼ばれる細い管を冠動脈に入れて、風船をふくらませて冠動脈の狭窄部を拡げます。十分に広がらない場合は、ステントという薄い金属の円筒を血管の内部に入れて冠動脈の内側を抑えて補強する方法があります。
薬物療法の効果がなく、カテーテルによる治療が不向きな場合は、冠動脈バイパス手術を行います。

注意したいこと

危険因子を減らすには、食事や運動の見直し、禁煙、体重管理などが大切ですが、そのほかにも、熱いお風呂に入ったり、温度の低い急激な温度変化にさらされないように気をつけます。
トイレでいきむのもよくありません。また、睡眠不足や過労、ストレスも発作を誘発することがあります。規則正しい生活を送ることを心がけましょう。