病気・トラブル辞典
SICKNESS & TROUBLE DICTIONARY

子宮筋腫
[しきゅうきんしゅ] 女性特有の病気 子宮・卵巣

受診するなら

婦人科、女性外来

子宮の壁を構成する筋肉組織にコブのようなかたまり(筋腫)ができる病気です。
筋腫が発生した場所によって3つのタイプに分けられます。(下図参照)
筋腫の大きさや数はまちまちですが、良性の腫瘍で、がんなどの悪性のものに変化することはなく、また大きくなっても組織を破壊することはありません。

症状

筋腫が発生・発育する部位や方向、大きさや個数によって症状は異なりますが、月経の量が多くなることがあります。寝込んでしまうほどの強い月経痛をともなうこともあります。
月経量が多いため、貧血が進行し、運動時のめまいや息切れ、倦怠感もでてきます。
自分で下腹部をさわるとしこりを感じられるほど筋腫が大きくなるとこともあります。膀胱や腸が圧迫され、頻尿や便秘になることもあります。

原因

出産回数が少ないと筋腫がふえる傾向があり、また筋腫の発育には、女性ホルモンが関係しています。

治療

筋腫の大きさや症状、年齢や妊娠の希望などによって治療は異なります。
症状が軽く、大きさも小さい場合は、治療が必要でないこともありますし、筋腫は閉経すると自然に縮小し、症状も消失するので、年齢によっては対症療法で乗り切ることも可能です。 主治医とよく相談しましょう。
低用量ピルやホルモン付加IUD(子宮内避妊具)を使うと、月経量が減り、痛みも軽減します。
貧血がある場合は、鉄剤やサプリントを服用します。
GnRHアナログ投与は、女性ホルモンを低下させることによって、閉経後の状態をつくり、症状を改善する薬物物療法ですが、治療中は更年期症状があらわれることもあり、1回につき6か月が限度となります。
手術療法では、腹腔鏡や開腹して筋腫を取り除きますが、筋腫の大きさや発生部位、数などによって手術法は違います。主治医とよく相談しましょう。
根治には、子宮の全摘出しかありません。なお、最近、腹部を切らない治療法として、子宮動脈塞栓法(しきゅうどうみゃくそくせんほう)(UAE)が選択されることもありますが、健康保険は適応されません。

注意したいこと

筋腫の大きさや症状の程度によっては、すぐに治療が必要というわけではありません。 年齢や妊娠の希望などを考慮しながら、治療法を選択します。
治療法を主治医とよく話し合い納得して選ぶことが大切です。

子宮筋腫の種類と症状

子宮筋腫は発生場所によって3つのタイプに分類されますが、1か所だけ発生する場合より、2種類以上が合併して起こる「多発性筋腫(たはつせいきんしゅ)」がもっとも多くみられます。

筋層内筋腫

筋層内筋腫(きんそうないきんしゅ)
子宮の壁の中にできる筋腫。筋腫が小さいうちは痛みもなく無症状ですが、大きくなると月経量が多くなり、月経痛が激しくなります。

漿膜下筋腫

漿膜下筋腫(しょうまくかきんしゅ)
子宮の外側をおおっている漿膜(しょうまく)を押し広げるように外側に向かって筋腫ができます。筋腫が大きくなるまで症状があらわれにくいのが特徴です。

粘膜下筋腫

粘膜下筋腫(ねんまくかきんしゅ)
子宮内膜の下にできる筋腫。子宮の内側の粘膜(子宮内膜)を押し広げるようできるので、小さくても月経量が多くなり、貧血がすすみます。