子宮頸がん検診女性特有の検査
検査名称
子宮頸部細胞診(しきゅうけいぶさいぼうしん)
どんなときに受ける?
性交経験が1回でもあれば、10代でも毎年受けてほしい検査です。
どんな検査?
子宮の入り口付近の子宮頸部((けいぶ))の粘膜面に発生するがんが子宮頸がんで、性交渉で感染するヒトパピローマウイルス(HPV)が原因で起こることがわかっています。
子宮頸がん検診は、子宮頸部の粘膜細胞をこすり取り、顕微鏡で調べる検査で、子宮頸がんを早期に発見するための検査です。
また、現在は細胞診のほか、HPV検査も行われるようになりました。これは、自分がどの程度子宮頸がんにかかるリスクがあるかを調べる検査で、自分が子宮頸がんを引き起こしやすいハイリスクタイプのHPVウイルスを持っているかがわかります。
検査の方法は?
内診時に、子宮頸部を専用の綿棒やブラシでこすり取って細胞を採取します。採取した細胞を顕微鏡で観察して異常の有無を調べます。痛みや出血もほとんどありません。
検査結果の見方は?
細胞診の結果は、下記のようにクラスI~Vまでに分類されます。これは、がんの進行期とはまったく別のものです。
なお、異型上皮という結果が出ても、すべてががんになるわけではありません。クラスIIb、IIIaと判定されても、定期検診を受けて1~2年経過を観察するうちに、クラスI、IIに戻ることも多いからです。クラスIIb以上の場合は精密検査を行います。また、最近はベセスダ分類という欧米の細胞診結果の表記も併記されるようになりました。
細胞診クラス分類
クラス分類 | 推定される病変 |
---|---|
クラスI、クラスII | 正常の範囲 |
クラスIIb | 軽度~中度の異型上皮の疑い(精密検査が必要) |
クラスIIIa | 軽度~中度の異型上皮の疑い(精密検査が必要) |
クラスIIIb | 高度異形上皮の疑い(悪性疾患の可能性あり・精密検査が必要) |
クラスIV、クラスV | 早期がんが疑われる(精密検査が必要) |
ベセスダ分類
結果 | 略語 | 推定される 病理診断 |
従来のクラス分類 | 運用 |
---|---|---|---|---|
陰性 | NILM | 非腫瘍性所見、炎症 | I、II | 異常なし: 定期検査 |
意義不明な異型扁平上皮細胞 | ASC-US | 非軽度扁平上皮内病変疑い | II、IIIa | 要精密検査: 1.HPV検査による判定が望ましい。 陰性:1 年後に細胞診、HPV 併用検査 陽性:コルポ、生検 2.HPV 検査非施行 6 ヵ月以内細胞診検査 |
HSIL を除外できない異型扁平上皮細胞 | ASC-H | 高度扁平上皮内病変疑い | IIIa-b | 要精密検査: コルポ、生検 |
軽度扁平上皮内病変 | LSIL | HPV 感染軽度異形成 | IIIa | |
高度扁平上皮内病変 | HSIL | 中等度異形成高度異形成上皮内癌 | IIIa、IIIb、IV | |
扁平上皮癌 | SCC | 扁平上皮癌 | V |
精密検査で行うこと
精密検査が必要になったときには、コルポスコープという拡大鏡で子宮の入り口をよく観察し、異形上皮やがんが疑われる部分を切り取って組織診を行います。
ドクターから
子宮頸がんは、初期あるいは前がん状態のうちに治療をすれば、治癒率は100%です。早期に発見するためには、検診を受けることが何より大事です。
子宮頸がん検診は、自治体で公費で受けられますが、20歳以上が対象です。子宮頸がんはセックスの経験が1回でもあれば、誰でもかかりうる病気ですから、10代でも性体験がある人は、年に1回自己負担で検診を受けることをおすすめします。
なお、欧米では、細胞診とHPV検査の併用がガイドライン化されていますが、日本ではHPV検査はまだ子宮頸がん検診としては導入されていません。また、健康保険も適用されません。費用は自己負担になります。けれども、HPV検査の結果がマイナスであれば、子宮頸がんになるリスクが低いことがわかりますし、その後は子宮頸がん検診を3~5年受けなくてもよいとされています。
HPVのワクチンも認可され、今は子宮頸がんを予防できる新しい時代に入っています。