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「昼寝」で仕事の効率がアップする?

「昼寝」を導入する動きが広がりつつあるようです。 

昼食後に短時間の睡眠を取ることで集中力が高まる、ストレスが解消されるなど、さまざまなメリットがあるというのですが……? 

 

短い昼寝はメリットがいっぱい 

「パワーナップ」というらしいです。 

日本語でいうところの「昼寝」ですが、日中に15分から20分(または30分)くらいの短時間の睡眠のことを「Power Nap(積極的睡眠)」と呼ぶそうです。 

社会心理学者ジェームズ・マースによる提唱で、NASA(アメリカ航空宇宙局)の研究によると、昼間、パイロットに26分間の仮眠を取らせた結果、認知能力が34%、注意力が54%も向上したことが実証されたそうです。 

パワーナップによって疲労の回復、集中力のアップ、ストレスの解消、仕事の効率が上がるなど、さまざまなメリットがいわれています。 

「昼寝」イコール「さぼり」は、もう過去の話なのかもしれません。 

 

昼間に眠くなるのは、満腹になったから 

昼食のあとに眠くなるのはどうしてでしょう? 

詳しいことはよくわかっていないそうですが、体に備わったリズム、体内時計の影響があるのでは、といわれています。 

眠気のピークは、深夜2時頃から早朝にかけてと、昼の2時から4時頃の1日2回訪れるそうです。 

ちょうどお昼ごはんを食べたあとに眠くなるのは、怠けているわけでも、仕事が嫌になったわけでもなく、人間として自然な現象だといえそうです。 

また、食後の血糖値の急激な変動が眠気を誘うともいわれています。朝食を食べない人は、とくにそうした可能性が高いとも指摘されているようです。 

 

長い昼寝をすると何がいけないの 

なぜパワーナップつまり昼間の早い時間に15分から20分という短時間の昼寝が有効なのでしょうか? 長い時間、寝てはいけなのでしょうか? 

これには浅い眠りの「レム睡眠」と深い眠りの「ノンレム睡眠」が関係しているといわれます。パワーナップは入眠20分ほどで訪れるノンレム睡眠のステージ2で目覚めることで効果が発揮されるということです。 

ノンレム睡眠には4つのステージがあるそうで、20分以上眠ってステージ3を超えるとノンレム睡眠は本格的な深い眠りに入ってしまい、そのタイミングで起きると眠気や倦怠感が残ってしまい逆効果だそうです。 

短い昼寝ではあっても脳はしっかり休息、リセットができているということのようです。 

 

効果的なパワーナップの方法とは 

年齢によって効果的な睡眠時間(パワーナップ)があるそうで、若い世代(20歳~30歳代)は1520分、中高年世代(40歳~50歳代)は15~25分、高齢者(60歳代以上)は30分程度が、それぞれ目安だそうです。 

眠るときは完全に横にならないことが大切らしいです。 

例えば、頭がグラグラしないようにヘッドレストがついたイスや、壁際のソファで壁に頭をつけて眠るのがいいそうです。 

机にうつ伏せで眠るのもいいようですが、首を痛めたりするような寝方を避けるために専用の枕などを使うのがよさそうです。 

眠る前には、コーヒーや緑茶などでカフェインを摂取すると、15〜20分後にカフェインの効果があらわれて、スッキリと目覚めるそうです。 

ただ、午後4時以降の昼寝は、夜の睡眠に影響するそうなので注意です。 

 

<参考> 

*「効果的な昼寝『1530分』スッキリ覚醒」(東京新聞/2023.4.7 

*「昼寝の効果ってどのくらいあるの?」(株式会社丸八真綿販売) 

*「パワーナップ(積極的仮眠)で人生のパフォーマンスが上がる」(株式会社フィリップス・ジャパン) 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。