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低血圧の人は「怠け者」なのか?

「低血圧は長生き」とよくいわれます。

たしかに高血圧に比べたら重大な病気につながることは少ないかもしれませんが、といって低血圧ならではのさまざまな体の不調もみられるようです。

 

低血圧の基準

「低血圧だから朝、なかなか起きられない」とか「立ちくらみがするのは低血圧だからかな?」といったことを耳にすることがあります。

他にも低血圧には、めまい、肩こり、頭痛、不眠、動悸や息切れ、倦怠感、無気力といった症状があらわれることがあるようです。

低血圧は20~30歳の比較的若い女性に多くみられるといいます。

低血圧には高血圧のように明確な診断基準がないそうで、多くの場合、最高血圧が100mmHg以下を低血圧としているようです。

最低血圧については特に考慮しないそうですが、WHO(世界保健機関)による基準では60mmHg以下だといいます。

 

「怠け者」と誤解されがち

低血圧は高血圧と違って心血管系疾患のリスクが低いために、病気とみなされないこともあるようです。また、低血圧に対する周囲の理解不足もあり、めまい、倦怠感、疲れやすい、頭痛といった症状が「ありふれた」不調と思われ、症状がつらくて仕事に集中できないときがあるにも関わらず、周囲からは「怠けている」「サボっている」などと誤解を受けることもめずらしくないようです。

低血圧のつらいこうした症状は生活習慣の見直しで改善されることもあるといいます。

 

低血圧の症状を改善するには?

低血圧は栄養不足や運動不足、やせなどとの関連がいわれています。

改善には特別なことは必要なく、規則正しい生活が基本のようです。

食事は偏食を避け、1日3食をきちんとるのはもちろん、肉類や魚類、大豆製品などをバランスよく摂取することが大切といわれます。

特に低血圧の人は朝、起きられず朝食を抜くことが多いので注意を。

運動は血液の循環をよくすることから、散歩や水中ウォーキングなど適度な運動がおすすめだそうです。水分を十分に摂ることも忘れずに。

入浴は少し熱めのお湯に肩まで浸かり、寝起きのシャワーは血流をよくする効果があるそうです。

低血圧の人は朝が苦手なので夜更かしは禁物。症状を悪化させることもあるといわれます。早寝早起きを心がけ、朝は陽に当たりましょう。

 

低血圧で注意したいこと

血圧が低い人はめまい、立ちくらみによる転倒に注意が必要といわれます。

特にアルコールを摂取すると、さらに血圧が低下して、起立性低血圧によるめまいを起こしやすくなるそうです。ケガにも注意しましょう。

起立性低血圧は、急に立ち上がったり、体を起こしたりしたときに血圧が下がり、めまいや立ちくらみを起こすもの。

急激に最高血圧が20mmHg以上も下がるといいます。動作はゆっくりと行うのがいいそうです。

また、暑い時期は血管が広がって汗をかき、めまい、立ちくらみを起こしやすくなるといわれているので、脱水を起こさないためにも水分補給は十分に。

 

低血圧にもいくつかのタイプがある

低血圧の9割を占めるといわれるのが本態性低血圧。原因となる病気がなく、慢性的に低血圧が続くタイプで遺伝や体質などといわれますが、はっきりわからないようです。

急に立ち上がったときなどにみられる起立性低血圧は、自律神経の影響なども考えられ、ふだんは正常血圧の人でも起こるといわれています。

病気や薬が原因で血圧が低くなっているのが二次性(症候性)低血圧。心臓の病気やホルモンの異常、脱水などによって起こるとされています。

ちなみに「貧血」もめまいや立ちくらみを起こしますが、違う病気。鉄分不足により血液中の赤血球やヘモグロビンが減少して発症するものです。

 

<参考>

*「健康の森 低血圧」(公益社団法人 日本医師会)

*「低血圧とは」(一般社団法人 愛知県薬剤師会)

*「血圧が低めである(低血圧)」(アリナミン製薬株式会社)

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。