病気・トラブル辞典
SICKNESS & TROUBLE DICTIONARY

脳血管性認知症
[のうけっかんせいにんちしょう] 頭部の病気 頭・脳・耳

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神経内科、精神科

脳の血管がつまったり破れたりすることによって、脳がダメージを受けた部分のはたらきが悪くなって起こる認知症を脳血管性認知症といいます。
脳血管性認知症は、脳血管が損傷した場所によって障害の現れ方が異なるため、ある能力は低下しても、ほかの能力は保たれているという状態がみられます。
また、脳血管障害を引き起こす高血圧糖尿病、高脂血症、喫煙などが、脳血管性認知症の危険因子になります。

症状

アルツハイマー病と同じように、記憶力の低下、時間、場所、人物などがわからなくなる見当識障害、物事を系統立てて考える力などが低下します。徘徊や感情の起伏が激しくなるといった症状もみられます。
脳血管障害では、これらに加えて、脳の損傷部位に応じた身体的症状が現れます。
麻痺(まひ)や歩行障害、ものを飲み込む力が弱くなったり飲み込めなくなる嚥下(えんげ)障害、尿失禁などさまざまです。

原因

脳の血管がつまったり破れたりすると、神経系への血流が低下し神経細胞が壊れます。原因となる病気は、脳梗塞のうこうそく)がほとんどで、70%~80%を占めるといわれています。そのほか、脳出血、くも膜下出血などがあります。

治療

症状の進行を抑えるために、脳血管拡張薬、脳代謝賦活薬(のうたいしゃふかつやく)、抗血小板薬(こうけっしょうばんやく)を用います。また、攻撃性を抑える、逆に意欲低下を引きあげるなど、それぞれの精神症状を緩和する薬が処方されることもあります。
薬の服用だけでなく、高血圧糖尿病、高脂血症などの危険因子を取りのぞくために、食事療法や運動療法も取り入れます。

注意したいこと

脳血管性認知症は、アルツハイマー病と違って、発症を予防ができる病気です。すなわち、脳血管障害のもとになる動脈硬化の予防です。
ふだんから高カロリー高脂肪の食事を避け、適度な運動を心がけましょう。定期健診を受けて体の状態をチェックしておくことも大切です。