病気・トラブル辞典
SICKNESS & TROUBLE DICTIONARY

脳卒中(脳出血・脳梗塞・くも膜下出血)
[のうそっちゅう] 頭部の病気 頭・脳・耳

受診するなら

脳神経外科

突然、脳に血液が円滑に送られなくなり、血流が不足した「脳血管障害」が起こった状態です。脳血管障害を起した原因によって、「脳出血」「脳梗塞(のうこうそく)」「くも膜下出血」に大別されます。

かつては、死亡率が高く、手足のマヒや言語障害などの後遺症が残る病気でしたが、現在は治療方法が確立されつつあり、また、早期にリハビリテーションを行うことで、日常生活にほとんど支障なく復帰することができるようになってきています。
ただし、最新の治療に対応できる医療機関はまだ限られており、できるだけ早く診断を確定し、適切な医療機関へ救急車などで搬送する必要があります。
そのため、消防や医療機関が中心となって、脳卒中対応プロトコルの整備を進めています。

脳出血

脳の血管が破れて、頭蓋内に出血する状態です。
出血は自然におさまりますが、あふれ出た血液のかたまり(血腫(けっしゅ))が、脳の神経細胞を圧迫して、障害が起こります。
出血が少ない場合は、脳梗塞と見分けがつきにくいケースもあります。
●症状
出血の量や出血部位によって違いがありますが、気分が悪くなり、頭痛やめまい、吐き気や嘔吐のあと、意識障害や手足のマヒがあらわれます。出血量が少ない場合は、症状が軽く、診断がつきにくいこともあります。

●原因
最高血圧が180mm/Hg以上の高血圧の人に起こりやすい病気です。血圧が高いと、血管に強い圧がかかって徐々に弱くなり、最終的に破れてしまうからです。
ほかに、脳の血管の奇形や頭部に受けた外傷、脳腫瘍のほか、出血傾向のある疾患などが原因となることもあります 。

●治療
頭部の冷却、薬物投与で脳のむくみをとり、止血剤を使って出血を止めます。
一刻も早い治療が必要です。

脳梗塞

脳の動脈の血管が狭くなったり、つまってしまったりして、脳に十分な血液が送られなくなり、脳細胞が死滅する状態です。
脳血管の動脈硬化が進んで血管がつまって起こる「脳血栓(のうけっせん)」、ほかの臓器でできた血のかたまり(血栓)が脳血管につまって起こる「脳塞栓(のうそくせん)」があります。

●症状
手足のしびれやマヒ、ろれつがまわりにくくなる、めまい、吐き気などの症状があらわれます。
脳血栓では、症状が徐々に進むので、ごく初期には病気に気がつかないこともあります。
脳塞栓の場合は、突然発症し、視力障害と言語障害が同時に起こります。

●原因
高血圧糖尿病、高脂血症、肥満、睡眠時無呼吸症候群といった疾患が危険因子とされています。
これらの疾患があると、血管がつまりやすくなっているためです。

●治療
脳出血と同様に一刻も早く、脳のむくみをとる治療と、血液の凝固を防ぐ薬や血栓をとかす薬を投与します。

くも膜下出血

脳をおおう軟膜と、くも膜のあいだにあるすき間(脳髄液で満たされている「くも膜下腔」)に出血が起こった状態です。
中高年だけでなく20歳代〜30歳代の若い世代でも発症することがあります。

●症状
「バッドで殴られた」と形容されるような激しい頭痛に突然おそわれます。
嘔吐、けいれん、意識障害をともない、重篤な場合は、昏睡状態になり、死亡することもあります。
一刻をあらそいますので、体をゆすったりせずにすぐに119番通報をします。

●原因
脳動脈の一部に発生したこぶのような「脳動脈瘤」が破裂したことが主な原因です。
そのほか、動脈硬化によって血管に異常が起きたり、細菌などの感染症が原因となることもあります。
家族にくも膜下出血を起したことのある人は、発症リスクが高いとされています。

●治療
血圧をコントロールしながら、動脈瘤を探し、再出血を防いだり、ふさいだりする手術が必要です。