健康診断を知る
CHECKUP GUIDE

おりもの検査女性特有の検査

検査名称

細菌、クラミジア、淋菌(りんきん)、カンジダ、トリコモナス

基準値

細菌 陰性(-)
クラミジア 陰性(-)
淋菌 陰性(-)
カンジダ 陰性(-)
トリコモナス 陰性(-)

どんなときに受ける?

・おりものの色やにおいが変なとき
・外陰部のかゆみや痛みなどの症状があるとき
・妊娠を考えるとき
・パートナーが変わったとき
・自覚症状がなくても、性交渉のある人は年に1回検査を受けることをおすすめします。

どんな検査?

腟炎(ちつえん)・外陰炎(がいいんえん)の検査です。おりものの異常、外陰部の痛みやかゆみのある場合に行われます。大腸菌やブドウ球菌など細菌性腟炎(ちつえん)のほか、性感染症によるものも多くあります。とくに、近年は若い女性のクラミジア感染がふえています。

検査の方法は?

腟内からおりものを採取します。採取したおりものを顕微鏡でみたり培養検査をして、原因となる菌がいるか、またそれがなにであるかを調べます。

検査で何がわかる?

細菌

健康な女性の腟内は、女性ホルモンのエストロゲンの作用によって酸性に保たれ、外部からの細菌の侵入や増殖を阻止しています(腟の自浄(じじょう)作用)。ところが、過労などでからだの抵抗力が落ちたり、ホルモンバランスがくずれたりすると、腟の自浄作用が低下して、細菌の侵入を阻止できなくなったり、病的な繁殖を抑えられなくなってしまいます。
検査結果が陽性(+)と出た場合は、細菌性腟炎、萎縮性(いしゅくせい)腟炎など、大腸菌やブドウ球菌、連鎖球菌(れんさきゅうきん)などの常在菌(じょうざいきん)が腟内で増殖して炎症を起こしていることを示します。
陽性の場合は治療を行います。

クラミジア(DNA)

セックスによってクラミジアトラコマチスという細菌が感染すると、性器クラミジア感染症を起こします。性感染症の中でももっとも多くみられる病気です。クラミジアは咽頭(いんとう)にも潜伏していることがあり、これはオーラルセックスで感染したものと考えられます。
検査では、腟内から採取したおりものからクラミジアトラコマチスという病原体の抗原(DNA)の有無を調べます。 結果が陽性(+)の場合は、性器クラミジア感染が考えられます。陽性の場合は、抗生剤、内服薬などで治療を行います。
性器クラミジア感染症は、女性の場合ほとんど自覚症状がありません。そのため、治療しないまま、炎症が子宮頸管(けいかん)、子宮、卵管、卵巣へとすすみ、不妊症の原因になることが少なくありません。コンドームを使わない性交渉があったら、積極的に検査を受けて早期発見・治療をすることが大事です。

淋菌(りんきん)(DNA)

クラミジアとともに、近年女性の感染がふえているのが淋菌感染症で、セックスによってうつります。オーラルセックスにより咽頭炎を起こしたり、目に感染すると結膜炎を起こすこともあります。黄色い膿(うみ)のような分泌物がふえることが特徴です。
検査では、腟内から採取したおりものから淋菌の抗原(DNA)の有無を調べます。結果が陽性(+)の場合は、淋菌感染症です。陽性の場合は治療を行います。
女性の場合はクラミジアと同様、淋菌感染症も自覚症状がほとんどありません。治療をしないままほうっておくと、子宮頸管炎(しきゅうけいかんえん)、子宮付属器炎(しきゅうふぞくきえん)、腟炎を起こし、不妊症や子宮外妊娠を起こしやすくなります。性交渉があったら、積極的に検査を受けて早期発見・治療をすることが大事です。

カンジダ

腟内からおりものを採取して、カンジダ・アルビカンスという真菌(カビの一種)の有無を調べます。陽性(+)の場合は、腟カンジダ症が考えられます。陽性の場合は治療を行います。
腟カンジダ症は性感染症のひとつに数えられていますが、セックス以外の原因でも発症します。そもそもカンジダ菌は、カビの一種なのでふだんから常在菌として体や皮膚に存在しています。ところがからだの抵抗力が落ちたり、長期間抗生物質をのんでいるときなどに急激に増殖することがあります。かゆみやポロポロしたおりものが出ます。妊娠中などもホルモンの関係で発症しやすくなります。

トリコモナス

(ちつ)トリコモナス症は、性感染症のひとつで、トリコモナスという虫(原虫)の感染で発症します。検査では、腟内からおりものを採取して、トリコモナスの有無を調べます。陽性(+)の場合は、トリコモナス感染です。陽性の場合は治療を行います。

ドクターから

若い女性の性感染症がふえています。とくに、10代~20代にふえているのが性器クラミジア感染症です。感染しても自覚症状がないので、感染に気づかないまま人から人へとうつり、倍々ゲームのように広がっていきます。
女性の場合はからだの構造上、男性よりも性感染症に感染しやすく、不妊や子宮外妊娠などにもつながります。また妊娠中に感染すると、流産や早産を起こしたり、出産時に赤ちゃんにも感染させてしまいます。
年に1回、あるいは妊娠前には女性検診を受けて、病気の有無をしっかりチェックしておきましょう。