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ティップネスに聞いてみた(2) 糖質が気になったら今日から始める「食生活の改善と簡単な運動」

健康診断で血糖値を指摘された方、あるいは予備軍の方も、日々の食生活と生活習慣を少しでも改善すれば健康へのリスクをぐーんと減らすことができます。でも、ただやみくもに糖質を減らせば良いというわけではないようです。今回は「糖質とうまく付き合う方法」について、ティップネスのスペシャリスト安田剛さん(左)、トレーナー歴20年の向井貴之さん(右)に聞いてみました。

 

血糖値が高くなると生じる「リスク」はどんなこと?

血糖値とは、体内に流れる血液中のグルコース(ブドウ糖)の濃度のこと。血糖値が高くなると、動脈硬化の進行、糖尿病などの合併症にかかるリスクが高まると言われていますが、血糖値って徐々に高くなっていくのでしょうか? それとも、急激に上がるもの?

 

徐々に進行していくものですが、最近話題の「血糖値スパイクというのをご存知ですか? これは、糖質が高いものを食べたときに急に血糖値が上がり、その後急に下がるという、血糖値の乱高下を指します。この幅が大きいほど、健康リスクを高めると言われています。瞬間的に眠くなるのが代表的な症状です。長期的には血管を痛めてしまい、動脈硬化の進行や糖尿病のリスクが高まります。糖尿病は病気が進行すると基本的に治らない病気だといわれていますので、早いうちから自分の血糖値を意識することが必要ですね」(安田さん)

 

「血糖値が急激に上がると、太りやすい身体になると言われています。これは、血糖値の乱高下によってインスリン(血糖値を下げるホルモン)が大量に分泌されて、身体が脂肪を蓄える状態になってしまうからです。その結果、痩せにくくなってしまいます。病気を意識する必要がない方でも、血糖値の乱高下をなるべく抑えるに越したことはありません」(向井さん)

 

今日からできる食生活の改善ポイント

なるほど、厳しい食事制限を迫られていなくても、普段の食生活を意識することは大切そうですね。少しの工夫で、血糖値スパイクの予防にもつながるんですね。

 

「食後の血糖値の上昇を示す指標のことを、GI値(GI=グリセミック・インデックス)と言います。同じ量でも、この値が低い食品のほうがインスリンの分泌具合を抑えられるんです。いまでは、食品のGI値がまとめて本になっているくらい、身近なものになっています」(安田さん)

 

「例えばですが、白米よりも玄米、パスタよりもそばのほうがGI値が低いです。GI値を意識するだけで脂肪に蓄える糖の量を軽減できるので、食事をするときにいろいろな選択肢を持っておくと良いと思いますね。また、先に野菜やタンパク質から食べるようにするだけで、糖質の摂りすぎや血糖値の乱高下を防ぐことができます」(向井さん)

 

「糖質コントロール=炭水化物抜き」と考える人がいますが、摂らなければいい、ということでもないですよね?

 

「正確には、炭水化物は「繊維質」も含みますので、炭水化物から野菜などの「繊維質」を除いた「糖質」のコントロールと考えてください。

糖質は摂り過ぎたら脂肪として蓄積され肥満の原因となりますので、肥満予防の観点から問題です。糖質は取らなくても、「糖新生」と言ってたんぱく質や脂肪から体内で作り出すことができるのですが、からだに大きな負担をかけてしまうのでゼロなら良いわけではありません。

特に筋肉を発達させるときにはタンパク質の摂取が必要ですが、実はある程度のインスリンが分泌されたほうが、筋肉は発達するんです。インスリンを分泌させるには糖が必要なので、運動する場合は、糖質の摂取は効果を高めるうえでポイントとなります」(安田さん)

 

「ダイエットをしている方は、とにかくタンパク質だけを意識しがちですが、糖質も一緒に摂らないと、筋肉に栄養が送られるのがかなり遅くなるんです。身体づくりにおいては、糖質と賢く付き合ったほうが良いと思いますよ。糖質をとるなら、おすすめは朝です。朝に摂った糖質は1日のエネルギーに使われて、なおかつ代謝も上がりますから、朝食を食べないのはとてももったいない話です」(向井さん)

 

糖質というと、もう一つ気になるのはお酒ですね。どのように工夫するのがよいのでしょうか?

 

「好きなお酒が決まっている人は、おつまみの内容を意識しましょう。お酒の種類を問わない人は、糖質量やGI値を調べてみると良いですね。例えば、日本酒(本醸造酒)100gあたりの糖質は4.5gでGI値は35。それに対して焼酎はともにゼロです。積み重ねれば大きな差になってきますね」(安田さん)

 

血糖値を下げるリラックスストレッチ

「血糖値は“とうそう”するときに上がると言われています。ひとつは“闘争”、もうひとつは”逃走”です。いわゆるストレスがかかったときです。ストレスを感じたときに、身体的に逃げたい、戦いたい!と思ってもなかなかそうはいきませんし、血糖値が上がったままの状態にしておくのは良いことではありません。そんなときは、緊張状態をほぐしてリラックスできるようなヨガやストレッチが、血糖値の上昇を抑制する手助けになります」(安田さん)

 

さっそく、オフィスでできる簡単なストレッチを教えていただきました!

 

「ストレッチには呼吸が大事です。呼吸は、吐くとリラックス、吸うと興奮する作用があります。吐く方に意識すると、副交感神経が優位になってリラックスしてきます。ポイントは、吐く時間を吸う時間の2~3倍以上にすることです」(向井さん)

 

1.椅子に座り、背中を丸めて両手を膝に置きます。この姿勢になると、横隔膜が弛緩しやすくなり、リラックスして息を吐きやすくなります。

2.息を3秒くらいかけて吸い、6秒かけてゆっくり息を吐きましょう。これを1〜2分繰り返すだけでOKです。

 

食べたら歩く!動く! ほんのちょっとの習慣で血糖値は変わる

血糖値スパイクを防ぐために日常生活に取り入れられる習慣について、他にもいろいろとアドバイスをいただきました。

 

「急な血糖値の上昇を防ごうと思ったら、食事後に負荷をかけて歩くと良いと思います。階段とか、いいですね。平地よりも3倍くらいエネルギーを使います。強度が高い動きで最初に使われるのは脂肪よりも糖なので、すぐに燃焼させれば食後の血糖値を抑えることができます。(安田)例えば、歩いて10分くらいの場所へランチに行ったり、階段を使ってオフィスに戻るなど、動く環境を作ってみると良いですね」(向井さん)

 

「食べたあと、少し休んでから軽めの運動をするのもおすすめです。あとは、血糖値を上げないような身体づくりを目指しましょう。それにはまず筋肉をつけることです。同じものを食べても筋肉がある人のほうが糖を蓄えられるので、血糖値が上がりにくくなるんです」(安田さん)

 

最後に、トレーナーとして数多くの人を見てきた向井さんから一言!

 

「病気になってしまうのも、太るのも、毎日の積み重ねが原因です。食生活や生活習慣を変えようと思ったとき、最初の1〜2週間はもともとの習慣を身体が求めるので、辛いと感じがちです。でも、そこを越えるとだんだんラクになっていきます。自分の行動を変えるのはなかなか大変ですが、まずは1週間がんばりましょう。習慣化するとそれが当たり前になるので、ご紹介した食生活の改善や軽い運動のうち、ぜひひとつでも試してみてください」

 

 

取材・執筆/河辺さや香 撮影/山地彩香