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その腰痛、もしかしたらストレスが原因かも?

腰痛に悩む人は多いですね。

実は腰痛の多くが原因不明であり、長引く腰痛はストレスが原因であることがわかってきたそうです。

あなたは大丈夫?

 

 

腰痛の悩みは男性が1位、女性が2位

平成28年「国民生活基礎調査の概況」によると、男性の病気やけがの自覚症状のトップが「腰痛」で、女性の場合は「肩こり」に次いで第2位が「腰痛」でした。

長時間座りっぱなしのデスクワークや重いものを頻繁に扱う仕事など、職業性腰痛に悩む人も多いのではないでしょうか。

 

腰痛の原因は、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの腰椎の病気や内臓の病気、また腰椎が障害される圧迫骨折などさまざまなものがありますが、原因が特定できる腰痛はわずか15%ほどしかないそうです。

残りの85%は、検査しても痛みの原因が特定できない腰痛だといわれています。

つまりは多くの人が原因不明の腰痛に悩んでいることになります。

 

ストレスと腰痛の関係

でも、なぜ病気や異常がないのに腰痛が起こるのでしょうか?

1995年に海外で発表された研究データによると、腰の痛みが神経への圧迫が強いために腰痛を感じている人は全体の3分の1で、残りの3分の2の人は仕事上のストレスを抱えていたり、不安や抑うつがあるなど、精神的な要因が影響していることがあきらかになったそうです。

 

ストレスと腰痛なんてまったく結びつかないようですが、近年では原因不明の腰痛は、ストレスなどの心因的なものが大きく影響していると考えられているそうです。

さまざまな治療を行っても改善されない慢性の腰痛は、腰でも骨でもなく、もしかしたらストレスなどがつくっている痛みなのかもしれません。

 

長期間ストレスにさらされていると…

そもそも私たちの脳は、痛みの刺激が伝わるとドーパミンという神経伝達物質が放出されて痛みを抑制してくれるそうです。

しかし、悩みやストレスに長期間さらされているとこのドーパミンが放出されにくくなってしまうそうなのです。

その結果、脳は痛みやしびれを強く感じるようになって、慢性腰痛が起こってくるといわれています。

 

そういえば「Wの悲劇」などでも有名なミステリ作家の夏樹陽子さんは、原因不明の激しい腰痛に悩まされ「腰痛放浪記 椅子がこわい」(文藝春秋社刊)という闘病記を執筆しました。

寝ても覚めてもつらい腰痛の原因は心因性のものだったといいます。

 

ストレスに気づくことが大事

がんや感染症、骨折などで腰痛が起こることもあるようですから、腰痛に悩む人はまずは病院を受診して原因を調べてもらうことが大切です。

しかし、検査をしても原因が見つからない腰痛に関しては、ストレスが原因であることも疑ってみたほうがよいかもしれません。

思いあたるふしのある人は整形外科の治療と並行して、認知行動療法やカウンセリングなど心療内科や精神科の治療を受けてみることも考えてみませんか。

 

<参考URL>

*平成28年「国民生活基礎調査の概況」

http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/dl/16.pdf

 

*クローズアップ現代「腰痛2800万人時代=~変わる“常識”」(NHK)

http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3374/1.html

 

*長引く腰痛は「痛みを抑える神経」が原因だった?」(腰痛年齢.com シオノギ製薬 日本イーライリリー株式会社)

https://youtsunenrei.com/shiru/shinkei.html

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。