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化粧品かぶれ

敏感肌で化粧品かぶれを起こしやすい、という人も多いのでは? 夏から秋へ季節の変わり目には、化粧品かぶれを起こす人がとくに増えてきます。毎日肌につけるものだけに、トラブルを起こさないよう気をつけたいものですね。

多くの女性が経験している「化粧品かぶれ」

体の表面にある皮膚は、絶えずさまざまな刺激物にさらされています。こうした刺激物が皮膚に触れて起こる皮膚炎が「かぶれ(接触皮膚炎)」です。
かぶれを起こす原因はさまざまですが、女性に身近な接触皮膚炎といえば「化粧品かぶれ」があります。化粧品を使って、肌が赤くなる、かゆくなる、ヒリヒリする……こんなときは、化粧品かぶれを起こしている可能性があります。


どの化粧品でも起こる可能性がありますが、口紅やアイライナーなどでかぶれを起こす人が少なくありません。また、化粧品そのものではなくて、メイク道具にかぶれる場合もあります。まぶたのかぶれはアイライナーやアイシャドウが原因だと思っていたら、ビューラーの金属がまぶたにあたって、それがかぶれを引き起こしていたケースもあります。

刺激に化粧品そのもので起こるかぶれより、皮膚が弱っていて起こるケースが多い

化粧品かぶれは、大きく分けて次の2つのタイプがあります。

[1]アレルギーによって起こるかぶれ

香料や色素など、化粧品に含まれる何らかの成分が体にあわなくて、アレルギー反応によりかぶれが起こるものです。このような場合は、顔だけではなく、皮膚のどの部分に塗ってもかぶれを起こします。
また、化粧品メーカーを変えても、その化粧品にかぶれの原因となった成分と同じものが入っていれば、再びかぶれを繰り返します。
原因となる成分を確かめるためには、パッチテストを行うのがいちばんです。

[2]一時的な「刺激」によって起こるかぶれ

化粧品の成分が合っていても、皮膚症状が出る場合があります。皮膚のバリア機能が低下しているときに起こる「刺激性」の皮膚炎で、季節の変わり目や生理前など肌のコンデションが不安定なときに起こりやすい症状です。
化粧品の成分が合わない場合は、化粧品を塗った部分全体にかぶれを起こしますが、この場合は目の下や頬など皮膚の薄い部分にだけ起こります。アレルギー性ではないので、パッチテストを行ってもほとんど反応が出ません。

夏の肌は、乾燥→皮膚のバリア機能低下で弱っています

化粧品かぶれは、皮膚のバリア機能が落ちて起こる「刺激性のかぶれ」が少なくありません。
皮膚のバリア機能が落ちる主な原因は、環境です。
夏の肌は汗でうるおっているように見えますが、見せかけにだまされてはいけません。実は夏こそ乾燥に注意をしてほしいのです。
冷房や紫外線の影響、洗顔のし過ぎなど、夏は肌を乾燥させ、皮膚のバリア機能を低下させる条件がそろっています。
とくに、これまで使っていた化粧品が急にしみるようになった、というときは皮膚のバリア機能が低下して、肌が刺激を受けやすくなっているサインです。このようなときは、使っていた化粧品の使用をしばらくやめて、洗いすぎに注意し、十分な保湿を心がけてください。
肌の状態が元に戻れば、以前と同じように化粧品が使えるようになります。

「脱・敏感肌」は洗顔と保湿がキーワード

敏感肌に悩む女性は多いですね。「自分の肌質のせいで敏感肌になっている」と思いがちですが、実は自分で敏感肌をつくっているケースが多いのです。その大きな原因となるのが、洗顔のしすぎです。
いまだに、にきびができていた思春期のころと同じように、皮脂を落とすことにポイントを置いた洗顔法を続けている人がいますが、こうした洗顔が肌の抵抗力を弱めて敏感肌をつくっています。
健康な肌を保つには、皮脂と角層を守ることがとても大事です。脱・敏感肌を目指して、今日からぜひ「守り」の洗顔法をマスターしてください(「間違った洗顔法、していませんか?」参照)。

 

お肌の状態は、月経前後でも違ってきますし、睡眠や気温、紫外線など環境によっても変わってきます。お肌のコンデションをチェックしながら、その日のお肌の状態にあわせた洗顔・保湿を行ってください。
また、ピーリング剤の入っているものやビタミンCの濃度の高い化粧品は肌にとっての刺激が強いので、使用に注意を。季節の変わり目など肌の状態が不安定になっているときは、使わないほうが無難です。
さらに、新しい化粧品を使うときは、まず腕などに塗ってかぶれが起こらないことを確認してから使うようにするとよいですね。

化粧品かぶれは、ちょっとした心配りで予防できます。

プロフィール

平田 雅子 先生
皮膚科医
平田 雅子 先生

私のクリニック目白 院長 日本大学医学部卒。皮膚科専門医。

東京医科大学、同大学八王子医療センターを経て、2003、10月から現職。
女性専門医療の第一線で活躍中。
女性医療ネットワーク理事。
日本医師会産業医。
女性の悩みをきちんと聞くことを心がけた診療に定評がある。

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