プラスコラム
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巻き爪(陥入爪)

巻き爪・陥入爪に悩んでいませんか?

夏はミュールやサンダルを履いて、爪先に視線が集まる時期。足の爪の変形が気になったり、爪が痛んで「お気に入りの靴が履けない!」と嘆いている女性も多いのではないでしょうか。

足の爪のトラブルで多いのが、巻き爪です。爪の両端がアルファベットの「C」の文字のように湾曲して生えてくるものです。
爪の角がトゲのように肉に食いこんで炎症を起こすことがあります。これが陥入爪です。炎症を起こした部分が赤く腫れ、歩くたびに靴があたって飛び上るほど痛みます。ひどくなると、歩くのにも苦労するようになります。
※一般的な呼び方は【巻き爪=刺し爪】=病名は【陥入爪】

深爪や合わない靴などがおもな原因

巻き爪を起こすいちばん大きな原因は爪の切り方です。深爪をすると、爪の先端と趾先(ゆびさき)の皮膚の間が傷つきやすくなり、歩くときの力で、爪の両端の部分に見えている肉の部分が盛り上がり、爪を圧迫し巻き爪になりやすくなります。
また、つま先が細い靴や窮屈な靴、逆に大きすぎる靴なども巻き爪の原因になります。靴が大きい分には問題はないのでは? と思う人も多いかもしれませんね。でも、大きな靴を履くと、足が靴の中で前滑りしてしまうので、窮屈な靴と同じように爪が圧迫されてしまうのです。さらに、ストレッチの効いたきつめのストッキングも要注意。爪をギュッと圧迫するので、爪の変形につながります。


そのほか、加齢による要因もあります。赤ちゃんの爪は、薄くてまっすぐに伸びていてきれいですよね。これは爪の中の水分量が多いから。お肌と同じように、水分量が多いと爪もきれいに生えてくるのです。けれども、爪の中の水分量は年齢とともに失われていきます。そのため、加齢にともなって、爪も丸まって伸びていくようになるのです。ちなみに、爪にできる縦線も加齢によって起こってきます。

病院に行く前にできるセルフケア

巻き爪の程度が軽い場合は、セルフケアで改善できます。そして、これは巻き爪や陥入爪の予防にもつながります。
ちょっと面倒かもしれませんが、爪の変形を治すには、毎日のちょっとしたケアが大事なのです。
今日から、さっそく実践してくださいね。

(1)爪は丸く切らない、深爪をしない

まずは、爪を短く切り過ぎないことがとても大事。深爪をすると、爪が巻いて両端が肉に食い込んで痛む→痛むので爪のフチを深く切る→ますます巻き爪がひどくなる、という悪循環に陥ります。爪を切ったときに爪の先の肉の部分が見えていたら深爪です。短く切り過ぎないように注意しましょう。
また、爪は指先のカーブにあわせずにスクエアに切るのがポイント。爪の端は、少し伸ばしておきます。

丸く切ってはダメ。肉に食い込んでいる部分の爪を伸ばすのがポイント

(2)爪の両端にテーピングやコットンパッキングを

巻き爪の治療でよく行われる方法にコットンパッキングがあります。お風呂上りなど、爪が柔らかくなっているときに、米粒程度に丸めた乾いたコットンをピンセットで爪の角と肉の間に入れます。コットンパッキングをすることで、爪と肉の部分にすきまができます。これを繰り返すうちに、爪の角が上に伸びて肉に刺さらなくなります。


ただし、コットンパッキングは一度に多く詰め過ぎると、爪が割れてしまうので注意しましょう。コットンは少しずつ詰めるようにしましょう。
コットンの代わりに、テーピング用のテープを細く切って、爪の角と肉の間に挿入しておくのもおすすめです。爪を広げて伸ばしていくことで、爪が肉に食い込みにくくなります。

爪の角に小さく丸めた乾いたコットンを詰める

(3)爪の根元の保湿ケアをする

爪をつくるのは、爪の根元の爪母という部分です。お肌にうるおいが必要なように、美しい爪をつくるには、爪母の部分にうるおいを与えることがポイントです。ハンドクリームや乳液などを爪母に塗って、乾燥を防ぎましょう。

(4)足にあった靴を履く

巻き爪はもちろん、外反母趾を防ぐためにも、足にあった靴を履くことはとても大事。靴選びに自信のない方は、シューフィッターのいるお店で相談するとよいでしょう。

(5)5本ゆびソックスもおすすめ

スポーツ選手が愛用して話題になっているのが5本ゆびソックス。足ゆびをバランスよく使えるため、足の爪にかかる負担が少なくなります。保温効果もあるので、足の冷えが気になる人にもおすすめです。

現在は、爪の矯正治療が主流に

 

 

陥入爪の治療は、以前よく行われていたのは、爪の幅を細くする手術でした。しかし、術後の痛みがあることや、せっかく手術をしたのに再発率が高いのが難点です。そのため、その後は、フェノール法といって薬剤を使って爪の爪母の細胞を壊し、食いこんだ部分が生えてこなくする治療法がよく行われるようになりました。


そして、現在は、爪を矯正する治療法が主流になりつつあります。形状記憶合金のワイヤーを使って爪の形を矯正する方法や、弾力のあるプラスチック板や形状記憶合金プレートを爪に貼って矯正する方法もあります。
巻き爪や陥入爪の治療は、一般には、皮膚科や形成外科などで行っています。最近は、専門外来を設けている医療機関も増えてきました。巻き爪や陥入爪が気になるときは、がまんしないで、早めに受診をしてください。

プロフィール

平田 雅子 先生
皮膚科医
平田 雅子 先生

私のクリニック目白 院長 日本大学医学部卒。皮膚科専門医。

東京医科大学、同大学八王子医療センターを経て、2003、10月から現職。
女性専門医療の第一線で活躍中。
女性医療ネットワーク理事。
日本医師会産業医。
女性の悩みをきちんと聞くことを心がけた診療に定評がある。

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