プラスコラム
PLUS COLUMN

ムダ毛の処理、上手にできていますか?

ノースリーブやタンクトップなど、肌の露出が増える季節は、脇の下やすね毛などムダ毛の処理に頭を悩ましている方も多いのではないでしょうか?女性にはやっかいな存在のムダ毛ですが、体にとっては「無駄なもの」ではありません。

ムダ毛は本当に無駄な毛!?

ノースリーブやタンクトップなど、肌の露出が増える季節は、脇の下やすね毛などムダ毛の処理に頭を悩ましている方も多いのではないでしょうか? 
女性にはやっかいな存在のムダ毛ですが、体にとっては「無駄なもの」ではありません。毛髪も含めて、まつ毛やまゆ毛、わき毛、陰毛など、体毛が生えるのは神経が集中している部分。体毛は、外部からの刺激や摩擦から皮膚を保護し、体温調整を行う大切な役割を担っているのです。


とはいえ、やはりムダ毛はおしゃれの大敵。見た目の面からもムダ毛の処理は欠かせません。
でも、自己流の間違った方法でムダ毛を処理していると、肌を傷めたり、思わぬ皮膚トラブルに泣くことになるので気をつけて。クリニックにも、毛穴が炎症を起こしたり、皮膚に色素沈着が起こして駆け込んでくる患者さんがあとを絶ちません。これを機に正しい知識を身につけて、安全にムダ毛の処理を行ってください。

毛を抜く処理法は、皮膚トラブルに要注意

自宅で行うムダ毛の処理はいろいろな方法がありますが、一般に多く行われているのは毛を抜く方法でしょう。
この方法はムダ毛を毛根から引き抜くので、一見きれいに脱毛したように見えます。けれども、この方法はあまりおすすめできません。毛を引き抜く際に、毛根につながっている毛細血管を傷つけて出血を起こしたり、毛嚢炎(毛根部分に起こる炎症)を起しやすいからです。
毛を抜いたあとに、皮膚がかゆくなったり、毛穴がブツブツと目立つのは、脱毛した後に毛細血管から出血したり炎症を起こしたりしているからなのです。
また、毛を抜いたときに、毛根が引っ張られて横になってしまうと、新しい毛が生えてくるときに、毛先が皮膚の外に出ないで皮膚の中に埋没したまま伸びていくトラブルも起こりやすくなります。
そのほか、徐毛クリームやブリーチ剤、家庭用脱毛器などを使うときも、説明書をよく読んで使うことが大切です。いきなり使わずに、腕の一部分などで一度試してから使いましょう。

おすすめはカミソリによる処理法。正しい方法を覚えてください

肌にかかる負担が少ないという意味で、おすすめしたいのは、カミソリによる徐毛です。
「カミソリで剃ると毛深くなる」と敬遠する人が多いのですが、カミソリで剃っても毛深くなることはないので安心してください。
カミソリで剃った場合、毛の断面が四角くなるので、剃った部分の毛が伸びてくると、毛がかたく濃くなったように感じられるのでしょう。でも、カミソリで毛根そのものをいじるわけではないので、カミソリ処理で毛の太さが変わることはありません。
ただし、肌への負担を避けるためにも次の点に注意しましょう。

入浴時は皮膚がふやけているので大切な角質がどんどん取れていってしまいます。乾いた状態で行いましょう。

(1)皮膚が乾いた状態で行う

入浴時にカミソリでムダ毛を処理をする人も多いのでは? でも、これは肌トラブルのもとになるので気をつけて。入浴時は角質がふやけてはがれやすくなっていますから、こんな状態で剃ると、皮膚を守ってくれている大切な角質がどんどん取れていってしまいます。さらに、剃ったあとに石けんで洗い流して湯船につかったりすれば、ますます皮膚へのダメージが大きくなります。ムダ毛の処理を行うときは、皮膚が乾いた状態で行うのが正解です。

(2)シェービングクリームよりワセリンを

何もつけないまま、ムダ毛を剃るとカミソリに白っぽいものがついてきますが、実は、これは皮膚の角層。つまり、剃ることにより皮膚の角層を無理やりはがしているというわけです。皮膚の角質層を削ってしまわないよう、まずは皮膚を保護することが大切です。シェービングクリームを使う人もいますが、シェービングクリームは、ムダ毛を剃りやすい分、皮膚の脂までとってしまいます。皮膚科的にはワセリンを塗って剃ることをおすすめします。
ムダ毛が長いときには、ハサミで短く切ってからワセリンを塗って剃っていきましょう。

(3)逆剃りはNG

カミソリを使うときは、ジョリジョリ何回も剃ったり、逆剃りをしてはダメ。皮膚を傷めてしまいます。よく切れるカミソリを使って、毛の流れに沿って1回で剃るような気持ちでカミソリを動かしましょう。

(4)剃ったあとは、ワセリンで皮膚を保護する

剃ったあとは、水かぬるま湯で毛を流してタオルで拭きます。クリームは多少刺激があるので、ワセリンを塗って皮膚を保護するとよいでしょう。
できれば、2,3日、剃った部位は石けんを使わずに流すように洗いましょう。

(5)ムダ毛の処理は、2週間に1~2回程度に

ムダ毛は毎日剃っているという人がいますが、毎日行っていると肌へのダメージがひどくなり、色素沈着も起こしやすくなります。ムダ毛が気になって毎日剃らないではいられない、という気持ちもわかりますが、剃りすぎは禁物。ムダ毛の処理は、2週間に1~2回程度にとどめましょう。

(6)生理前後は避けて

生理前後は、抵抗力が落ち、皮膚が敏感になっています。カミソリ処理に限らずムダ毛の処理は、生理が終わってから行うとよいでしょう。そのほか、体調が悪いとき、疲れているとき、アウトドアスポーツや海などに行って日差しをたくさん浴びたときも避けましょう。

サロン選びは慎重に

エステサロンでムダ毛を処理する方法もあります。自分では処理しきれなかったムダ毛も専用のサロンではきれいに処理してもらえます。ただし、サロン選びはとても大切です。宣伝文句にすぐに飛びつくのではなく、周囲の評判を聞いたり、しっかりとカウンセリングを受けてお店のよしあしをチェックをしましょう。皮膚が荒れやすいなどのトラブルがあるなら、カウンセリングの際にそのこともしっかり伝えておきましょう。皮膚科や美容皮膚科など、クリニックで脱毛を行っているところも多くあります。クリニックでは、脱毛による皮膚トラブルがあったときなどにもすぐに対処できるので、安心かもしれませんね。

プロフィール

平田 雅子 先生
皮膚科医
平田 雅子 先生

私のクリニック目白 院長 日本大学医学部卒。皮膚科専門医。

東京医科大学、同大学八王子医療センターを経て、2003、10月から現職。
女性専門医療の第一線で活躍中。
女性医療ネットワーク理事。
日本医師会産業医。
女性の悩みをきちんと聞くことを心がけた診療に定評がある。