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健康に自信があるから「健診」は受けない?

あなたは健康診断を毎年受けていますか? 厚生労働省の調査では、過去1年に健康診断を受けなかった人の割合は、男性27.8パーセント、女性が37.1パーセントもいることが分かりました(平成26年「国民健康・栄養調査の結果」)。「今は健康だし」「面倒くさいから」「必要ないから」・・「健診」を受けない理由はさまざまあるでしょうが、じつは健診は「健康なとき」にこそ受けておく必要があるのです。周囲に「健康自慢」の健診未受診者はいませんか? そんな健診を受けない人たちにはある傾向が見られるといいます。それは・・?

 

「健康だから」健診は必要ない?

会社に勤めている人にとっては1年に1度の恒例行事となっている健康診断ですが、受診の規定に拘束されない専業主婦や自営業の人にとっては、「受ける」「受けない」は自分の判断にまかされています。つい「面倒くさい」「時間が取れない」など、いろいろな理由をつけて「受けない」ということになるようです。

 

厚労省の調査(平成26年「国民健康・栄養調査の結果」)では、とくに30歳代の女性の未受診率が高く46・7パーセント、約半数が健康診断を受けていないことが分かりました。20歳代でも40.4パーセントもの女性が健診を受けていません。男性の未受診率は、70歳代がいちばん多くて38・6パーセント、次いで20歳代の32・8パーセントです。30歳代で23・5パーセントもあります。

健康診断は、自分の体が健康かどうか、病気につながるような危険因子が隠れていないかを確かめるものです。病気を早期に見つけるためにも欠かせないのが健康診断ということもいわれています。

 

ですから「自分は健康だ」とか「健康には気をつけている」「健康に自信があるから」「とくに体に目立った異変はない」「これといった自覚症状はないし」・・などといった思い込み満載で自信過剰、根拠のない理由から健診を受けない人は、健診の意図をまちがって理解しているということになります。

健診は病気の症状が出てから受診するものではありません。頭が痛い、嘔吐するといったときに健診会場に行っても意味はなく、体に異変があるときに行くべきは医療機関です。

 

健診は1年に1度の体のメンテナンス?

「そのうち」「必要になったら」といったことも健診を受けない理由としてよく聞かれます。「時間とお金がもったいない」といった意見も耳にします。

病気は「待ったなし」です。下手な素人将棋や囲碁なら「待った」が通じるかもしれませんが、病気は手加減せずにおそってきます。「今こそ健診を受けるべき、そのときだ!」とか「今健診が必要!」などと事前に教えてくれるものでもありません。

 

また、いったん病気になって治療が必要になったときに費やすお金と時間は、健診を受けるためにかかる時間とお金に比べたら比較にならないほど莫大です。

ただ、無事、健診を受けても健診結果をめぐりさまざまな障害があります。

「数値に異常があるんじゃないか」「なんか病気が見つかるのがこわい」などという過剰な怯えから、後日送られてきた健診結果の封を開けないで、見ないまま放置してしまう人がいます。なかには自分に都合の悪い箇所を見つけるや否や、途中で報告書を閉じて見ることをやめてしまう人もいます。

 

そんなことをしても健診の結果を「なかったこと」にはできません(・・でも『だから受けたくなかったんだ・・』という言葉は無意味です)。

数値に表れた結果がどんな場合でも、それが今の自分の体の状態だということを認めて受け入れるしかないのです。もしなんらかの対策が必要ならば家族もしくは主治医に相談すればいいだけのことです。

健診は体のメンテナンス。傷んだ箇所の修復の機会と考えてみてはいかがでしょう。その結果については・・「餅は餅屋」「船は船頭にまかせよ」・・体のことは専門家の医者にまかせればいいのです。

 

 

<参考資料>

*「平成26年 国民健康・栄養調査」の結果(厚生労働省)

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000106405.html

 

<参考URL>

*「いしゃまち」((株)メディウィル)

https://www.ishamachi.com/?p=2798

 

*「発言小町」(YOMIURI ONLINE/読売新聞)

http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2009/0827/259169.htm

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。

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