プラスコラム
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シャンプー無しで髪イキイキ?

暑さが続く毎日、ちょっと外に出ただけなのに、体中の汗腺から汗が噴き出して、まるで水を浴びたように全身汗まみれということありますよね。「あー 今すぐシャワーを浴びたい!」と思うのもこんなとき。とくに汗とほこりでべたつく髪の毛をシャンプーを思いっきり泡立てて「ガシ、ゴシ!」と洗ったあとの 爽快感はたまりません・・・て、1日に2度も3度も髪を洗ってよかったんだっけ? そもそも髪を洗うたびにシャンプーを使うってどうなの?シャンプーと頭 髪、頭皮について考えてみました。

 

あなたのシャンプー、髪を洗う? 頭皮を洗う?

1日に2度も3度もシャンプーするのは髪にも頭皮にもよくないということは、今では多くの人が知っています。では、シャンプーは「1日に1回、毎日 しなくてはいけない」ものでしょうか? もちろん頭皮や髪を清潔にすることは大切ですが、シャンプーを使って毎日洗うのは、髪にも頭皮にもよくないとする 考え方があります。シャンプーそのものが頭皮や髪にダメージを与えるというものです。アンチエイジングなどでもおなじみの南雲吉則医師は、あるブログで 「シャンプーはなるべく控えるべき」といっています。ご自身は「湯上がりの水シャワーで髪が太く、フサフサになった」そうです。

 

シャンプーも他のせっけんなどと同じで、汚れを落とすための洗浄剤です。多くのシャンプーには合成界面活性剤が入っています。洗い過ぎると皮脂も洗 い流されて頭皮が乾燥してしまい、薄毛の原因にもなるといわれています。まして、洗髪するたびにたっぷりのシャンプーで泡立てて、頭皮を強く刺激したり、 髪をゴシゴシこするのは髪と頭皮への拷問ともいえます。
洗髪用のグッズに「シャンプーブラシ」があります。手のひらほどの大きさの本体からゴム製のトゲトゲが何本も生えていて、それで頭皮をゴシゴシと刺激すると皮脂が落ちるし、頭皮のマッサージにもなるということで、とくに男性に人気のグッズです。

 

皮脂を頭皮の汚れと勘違いして、皮脂のない頭皮が健康な髪を生むみたいな印象をいだく人が少なくありません。じつは皮脂には善玉菌がたくさん存在し ていて、頭皮の健康を守り、体内への有害な細菌の侵入を防いでくれているといわれます。もちろん髪の毛の保護にも欠かせません。
「シャンプーは髪の毛を洗うもの、髪の生え際である頭皮を洗ってはいけない」とする考え方もしだいに支持されつつあるようです。
あなたは髪を洗うとき、頭皮を念入りに洗いますか? それとも髪?

お湯だけで髪を洗うのは髪にも頭皮にもやさしい?

さらに最近ではシャンプーを使わない「お湯だけで髪を洗う」やり方が秘かに広まっているようです。「湯シャン」と呼ぶようですが、この方法はシャンプーを使わないので頭皮に強い刺激がなく、皮脂の落としすぎの心配もないということです。

シャワーで髪を洗うだけで汚れの7〜8割は落ちるといわれていますから、もともとシャンプーを使って髪を洗う必要もそれほどなかったのかもしれません。
洗髪にシャンプーを使うのは「汚れをしっかり落とさなくてはいけない」といった思い込みの他、「さっぱりして気持ちいい」「ベタベタして気持ち悪い」「髪の毛の匂いが気になる」などが主な理由のようです。

 

しかし、「湯シャン」でも汚れは落ちるし、皮脂の常在菌の働きによって匂いをおさえることはできるといいます。「湯シャン」の目的は、シャンプーに よって傷んだ頭皮と皮脂のバリア機能を回復させることにあるということです。タモリなど芸能界などでもその実践者が増えつつあるようです。
ちなみに作家の五木寛之氏は1か月半に1回しか洗髪しないことで有名です。ここまでいくとあまりにレベルが高すぎてすぐには実践できそうにない領域ですが、非シャンプー派の思想はじんわりと世の中に影響を及ぼしそうです。

 

 

<参考資料>
・「農家の健康便利帳」(万来舎)
<参考URL>
・「NEWSポストセブン」(小学館)
http://www.news-postseven.com/archives/20121028_151543.html

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。