「きょうの昼ごはんは久しぶりにトンカツでも食べようか！」ということで同僚を誘って近くのとんかつ屋へ入ったあなた。しかし、最近、おなかまわりが気になりはじめていることから、大好きなロースカツにするかヘルシーなヒレカツにしようか大いに迷います。

「イヤイヤ、ここはやはり健康志向でヒレカツかな」とヒレカツ定食を注文。でも隣にすわった同僚は、「ヒレカツってロースカツとカロリー的にはあんまり変わらないんだよね〜」といいつつロースカツ定食を選びました。
 

「ええっ？　そうなの？」……同僚の意外な言葉に驚きとまどうあなたですが、いったいそれって、どうなの？　

トンカツ食べるならヒレカツよりロースカツがおすすめ？

高カロリーな食べ物の代表のようにいわれているトンカツですが、そのおいしさに抗いがたく、「こんなに頻繁に食べてもいいのだろうか、いやいけないに決まっている」と激しく懊悩しつつも、たびたび口にしてしまう人は多いのではないでしょうか。
 

最近では健康のためとかカロリーが気になるからといった理由で、ロースカツよりもヒレカツを注文する人が多いようです。とくに女性にそうした傾向が 多くみられるようですが、本当のところはどうなのでしょう。やはりロースカツのほうがヒレカツよりも高カロリーなのでしょうか。
 

結論からいえば「変わりない」です。意外に思われる人が多いかもしれませんね。見た目でいえば、脂身のいっぱいあるロースと、ほとんど脂身がないヒレを比べれば一目瞭然という感じですが、事実はさにあらずということです。
 

じつは、肉そのもののカロリーを比較すると、ロース（263kcal）はヒレ（115kcal／いずれも100g当り）の２倍以上もあります。とこ ろがトンカツにしてみるとオドロキの数字が！　ロースカツが346kcalに対してヒレカツが300kcal（いずれも100g当り）とほとんど差があり ません。
その理由は、「油で揚げる」ことにあります。揚げ物が高カロリーなのは、トンカツのように肉を包む衣が油を多く吸収するからです。ただ油を吸収するのは衣だけでなく肉も同様です。ただ肉の場合、脂肪分が多いほど油を吸収しにくくなるというのです。
 

つまり脂身が多く含まれるロースは油を吸収しにくく、脂身が少ないヒレは油を吸収しやすいということになります。結果として、トンカツにしたときのカロリーがロースもヒレもそれほど変わらないということになるわけです。
　

ロースカツにはヒレカツにはないヘルシーな特徴が？

とはいってもカロリーの数値を見ればロースとヒレには歴然と違いがあるし、食べるとしたらやはりヒレカツじゃないの？　ということになりそうですが、ロースカツにはヒレカツにはないヘルシーな特徴があるのです。
 

豚肉にはビタミンB類が多く含まれているということは皆さんご存知だと思います。そのなかでもとくにビタミンB1（チアミン）が豊富に含まれていま す。ビタミンB1は糖質の代謝を上げ、運動時の疲労を軽減する働きがあります。不足すると疲れやすくなったり、脚気などの病気を引き起こすといわれていま す。また、脳の活動にはブドウ糖以外にもビタミンB1も大量に必要とします。
 

さらにビタミンB類には脂肪の代謝を促進する働きがあり、コレステロールを低下させてくれるといわれています。このように豚肉には他の食品に比べて多くのビタミンB類が含まれていて、とくに脂身にも多く含まれているということです。
ということで、ヒレカツとロースカツのカロリー対決ですが、同じ程度のカロリーならば、糖質や脂肪の代謝を考えるとロースカツが栄養豊富でヘルシーということになりそうです。
 

ところで、トンカツといえばキャベツということになりますが、トンカツをよりヘルシーに食べるならキャベツを先に食べることをおすすめします。キャ ベツの食物繊維が油の吸収や栄養の吸収を押さえて、血糖値の上昇を緩やかにしてくれるというのです。またキャベツに含まれるジアスターゼやビタミンUと いった栄養素は、胃腸の消化を助けたり、胃の粘膜を保護、修復したりしてくれます。
トンカツとキャベツの組み合わせにはちゃんとした理由があったというわけですね。

 

＜参考URL＞
・文部科学省『食品成分データベース』
http://fooddb.mext.go.jp/history.pl