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夏バテ対策法(2) 食事編 疲労回復のカギは「食」にあり

夏バテ防止食材として見逃せないのがビタミンB1。糖質をエネルギーに変換するのに欠かせない栄養素です。夏こそたくさん摂りたい栄養素ですが、ビタミンB1は水溶性なので、汗をかくことの多い夏は、体外へ排出されて不足しがちになります。

 

また、食欲がないからと食事をきちんと摂らずに、お菓子やファストフードですませたり、清涼飲料水やアイスクリームなど甘いものをたっぷり摂っていれば、それらをエネルギーに変えるためにさらに大量のビタミンB群が必要となります。
 

ビタミンB1が不足すると、糖質をエネルギーに変えることができないために、疲労感や倦怠感、食欲不振を招きます。また、脳にも十分なエネルギー供給ができないため、集中力が落ちたりイライラ、気力の低下にもつながります。

 

夏は積極的にビタミンB1を補給したいもの。ビタミンB1は、豚肉や大豆、ウナギなどのほか、麦や胚芽米にも多く含まれています。暑さも峠を越えたとはいえ、これまでの暑さで疲れをためこんで、だるい、やる気が起きないと感じている人も多いのではないでしょうか。
 

手っ取り早く、栄養ドリンクやエナジードリンクに頼る人もいるかと思いますが、肝心の食事をおろそかにしていては、夏バテの根本解消にはなりません。今回は疲れに効くおすすめ食材を紹介します。疲労回復に効く栄養素を効率よく摂って、お疲れ気味の体をたて直しましょう!
 

筋肉疲労を回復させる「カリウム」

ビタミンB1以外に、とくに夏に不足しがちなのがカリウム。カリウムは筋肉でエネルギーづくりに働いていますから、不足すると脱力感が起こります。夏は汗とともにカリウムを排出してしまうのです。「だる~い」といった全身の脱力感が襲ってくる夏バテも、カリウム不足が原因のひとつといわれています。

 

ストレスや、コーヒー、アルコール、甘いものの摂取もカリウムを減らすといわれていますので、心当たりの人は気を付けて。カリウムはヒジキや海藻類、アボカド、エダマメ、ホウレンソウ、イモ類、納豆などに多く含まれています。
 

疲労回復の救世主として注目されている「イミダペプチド」

近年、疲労回復に働く抗疲労物質として注目されている栄養素に「イミダぺプチド」があります。これまで疲労の原因物質は乳酸とされてきましたが、近年の医学的な研究により、疲労には体内に発生する活性酸素が深くかかわっていることがわかってきました。これに対してイミダペプチドが強い抗酸化作用を示し、すぐれた疲労回復効果があることが医学的に実証されたのです。
 

イミダペプチドは、鶏の胸肉やマグロ、カツオの尾びれなどに多く含まれている成分なのだそうです。渡り鳥の羽を動かす筋肉に豊富に含まれ、その運 動を支えているといわれています。回遊魚であるマグロやカツオをはじめ、休むことなく始終動いている生き物に共通する物質なのですね。


鶏の胸肉やツナ缶詰などは、ローカロリーで調理しやすい素材。サラダやパスタ、煮込み料理などに使って、毎日積極的に摂りたいですね。
 

暑いからと食事を抜いてしまったり、簡単なものですませてしまったり、一方で、バーベキューやビアガーデンで飲みすぎたり食べ過ぎたり……こんな食生活が夏の疲れをよけいにひどくしていたのかもしれません。


疲労回復は食事が基本。少量でも栄養バランスのよい食事を心がけたいものですね。ついおちいりがちな夏の食生活パターンを見直して、残暑を元気に乗りきりましょう。

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。