プラスコラム
PLUS COLUMN

UVカットの新常識のヒミツ

温かくなると強くなるのは、紫外線です。UVカットについては、以前UVA波とUVB波について、基礎的なことをご紹介していますが、今回は最新バージョンのUVカットについて、ご紹介します。

 

すでに皆さんは、地上に降りそそぐ紫外線(UV)にはA波とB波があることはご存知だと思います。A波は波長が長く、エネルギーは弱いけれど、たくさん降りそそいでいて、ガラスも通過します。肌の奥まで到達するため、真皮層のコラーゲンなどを劣化させ、シワやたるみを引き起こすと言われています。また、肌を一時的に黒くするのもA波で、シミも誘発します。かたやB波はA波より波長が短く、エネルギーも強く、長時間浴びると炎症を起こして赤くなったり、シミ、ソバカスを誘発します。ただし、ガラスはほとんど通過しないと言われています。

 

 

日本では、日焼け止めの表示はB波を防ぐ力「SPF」値を上限50の数値で示し、A波を防ぐ力「PA」を+~+++で表示しています。
ここまではよく知られていることですね。
最近では、シワやたるみといったエイジングに関わるA波のダメージが着目されています。ところが、ここで意外に知られていないことがあるのです。


実はEU諸国は日本と違い、A波の防止力もPPDの数値で示されています。これを日本のPAに置き換えた場合、PA+(効果がある)はPPD2以上4未満。PA++(かなり効果がある)はPPD4以上8未満。PA+++(非常に効果がある)はPA+++でもPPD8以上。つまりPPD8以上はすべて+++と表示されるのです。ところが、EU諸国ではA波とB波の数値のバランスが重要と考えられていて、SPF値の三分の一以上のPPDがなければ良い日焼け止めとはいえないとしていて、三分の一を確保している製品には、共通のUVAロゴがついるんです。

 

たとえばSPF30だったらPPD10以上。SPF50なら、PPD17以上ということに。でもPA+++だと、PPDの数値が分からないのですが、PPD9とPPD30ではメラニン生成を抑える効果が違うという実験データもあるとか。
ですから、UVAをしっかり防ぎたいと考えるなら、このロゴが付いているものを買うというのも一つの手。日本もPPDにしたらいいのにな、と個人的に思います。

 

PPD値

 

また、SPFの数値が高いと、肌へ負担になるのでは?ということもよく聞かれますが、実際の数値は、1平方センチメートル当たり2gmも塗った数値を測定して表示しています。でも、実際はそんなにたくさん塗りませんよね。だからSPF50といっても、実際はそれよりも低いと考えるのが、今の常識。数字の効果をそのまま期待しないほうがいいのです。
最近は肌に負担をかけないよう、紫外線吸収剤をコーティングする技術もすすんでいるので、SPF値が高くても使用感がよく、肌疲れしないものが増えてきています。


もちろん、朝通勤で外へ出るくらい、というなら、SPF値は高くなくても大丈夫。逆に、営業などでずっと外周りをしている。アウトドアスポーツをする人は、SPF値が高いものをこまめに塗り直すことが大切です。
次回も、紫外線情報第二弾をお届けしますね。

 

プロフィール

山崎多賀子
(やまざき たかこ)
山崎多賀子

1960年生まれ。
会社員、女性誌の編集者を経てフリーに。雑誌やwebなどで美容、健康記事や美容ルポルタージュ、エッセイなどを手がけ、各誌で活躍。2005年に乳がんが発覚、2006年から女性誌に闘病記を掲載し話題に。
また、美容ジャーナリストという職業と闘病経験を活かし、乳がん治療中もいきいきとキレイでいられるためのメイク法や検診の重要性などを各地で講演。
著書に『「キレイに治す乳がん」宣言!』(光文社)、『山崎多賀子の極楽ビューティ体験記』(扶桑社)がある。
NPO法人キャンサーリボン理事。NPO法人キャンサーネットジャパン認定乳がん体験者コーディネーター。

関連キーワード