病気・トラブル辞典
SICKNESS & TROUBLE DICTIONARY

腎炎症候群
[じんえんしょうこうぐん] 体の病気 泌尿器(腎臓・尿)

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泌尿器科、内科

腎炎症候群は、血液をろ過して尿をつくるはたらきをする腎臓の糸球体が細菌感染して炎症を起こし、腎臓の機能を低下させるものです。短時間に発症する急性腎炎症候群と、徐々に発症・進行する慢性腎炎症候群に分けられます

急性腎炎症候群

●症状
むくみ、血尿、高血圧がおもな症状です。多くは、風邪や扁桃炎(へんとうえん)などにかかった1~3週間後に発症します。そのほか、中耳炎や副鼻腔炎などのあとに起こる場合もあります。
突然、血尿が出る、まぶたが腫れぼったくなる、すねがむくむなどの症状が現れます。
全身の倦怠感や腰から背中にかけてのにぶい痛み、食欲不振や吐き気をともなうことがあります。尿量の減少もみられます。

●原因
おもに溶血性連鎖球菌(ようけつせいれんさきゅうきん)という細菌の感染によって起こります。鼻腔(びくう)、咽頭(いんとう)、喉頭(いんとう)などが溶連菌に感染すると、体内では溶連菌に対する抗体がつくられます。
この抗体が結合すると、免疫複合体になります。免疫複合体が糸球体に沈着して炎症を起こします。

●治療
細菌感染に対しては、抗生物質を使用します。高血圧には降圧剤、むくみには利尿剤をそれぞれ処方します。薬の服用以外に大切なのは、安静と食事療法です。安静を保つために、初期症状が強い場合には入院が必要です。
食事療法は、症状に応じて塩分、水分、たんぱく質を制限します。
適切な治療を受けて安静を保てば、多くの場合2~3カ月で症状がおさまります。小児では約90%、成人では約70%が完治しますが、残りは慢性化します。 年齢が高くなるほど慢性化しやすい傾向があります。

●注意したいこと
急性腎炎症候群が治癒したあとは、1年間ほどは激しい運動を避けます。
学校や職場への復帰は医師の指示にしたがいましょう。
また、治癒後に扁桃炎や咽頭炎などにかかったときは、再発を防ぐために早めに受診し、尿検査もあわせて受けるようにします。

慢性腎炎症候群

●症状
長い経過をたどって腎機能が低下するため、自覚症状がなかなか現れないことが特徴です。
腎機能低下がある程度進んでから、血尿やたんぱく尿がみられます。さらに、むくみや高血圧も現れますが、患者さんによってその経過はさまざまです。
健康診断などの尿検査で、はじめて異常が発見されることもあります。

●原因
急性腎炎症候群が完治しないまま慢性化するケースと、はじめから慢性糸球体腎炎(まんせいしきゅうたいじんえん)として発症する場合があります。腎臓の糸球体が何らかの原因でダメージを受けたと考えられますが、多くの場合、正確な原因はわかりません。
この病気は、良好に経過するもの、逆に早くに進行し慢性腎不全に移行するものなど、経過もさまざまです。

●治療
完治するための特効薬はなく、症状に応じて利尿剤や降圧剤を使用します。悪化した場合は入院が必要で、ステロイド剤や免疫抑制剤、抗血小板剤などによって改善をはかります。
何より医師の指示にしたがって、定期検査を受けて経過を観察することが大切です。
生活面では、安静を保ち、塩分とたんぱく質を制限する食事療法を続けます。

注意したいこと
自覚症状がないために、知らないうちに悪化させてしまうことがあります。
定期的に検査を受け、食事療法と安静を保つことを心がけましょう。